【プレミア12】“1点OK”の守備で点が取れなかった日本 元オリ監督森脇氏「ゲームのあや」

アメリカの守備シフトは通常の守備位置、確実に1点が入る状況…

 打線に関しては取れるべきところで点を取ることができなかった。結果的に1点を奪ったが4回1死三塁の場面で吉田が左飛球に倒れた場面。ここはフルカウントと追い込まれながら反対方向を意識した打撃を見せたが打ち上げる形になった。そして7回1死二、三塁で山田はファーストストライクを浅い左飛となった。

 ここでの共通点はアメリカは「1点OK」の考えで前進守備ではなく通常の守備位置。ゴロを打てば確実に1点が入る状況だった。吉田、山田は自チームでは中軸打者で長打力、アベレージ、状況に応じた打撃ができるオールマイティーな打者でもある。追い込まれるまでは自分のベストの打撃をするのは勿論、必要で間違いではない。

 山田のスイングも紙一重だったし、吉田は追い込まれてからしっかりと反対方向も意識していた。2人とも決して好き勝手の打撃はしていないが、“ゲームのあや”だったかもしれない。国際大会では経験したことのない投手と対戦するが“待ち”は必要はない。ペナントと違い先発投手はすぐに代わり継投に出る。タイミングを掴んでもすぐにまた違う投手と対戦する。強引と積極的は全く意味が違うことを頭に入れてほしい。条件を付けた“積極性”は国際大会では必ず必要になってくるのだ。

 私なりに先制点を奪われた場面も振り返っていきたい。1死三塁で前進守備を敷いた日本だがこれは正解だ。僅差の勝負になることは分かっているし相手は下位打線に入っていくところ。当然の策だ。一塁線へのゴロで浅村は捕球しベースを踏んで本塁へ返球したがわずかに逸れて先制を許した。

 私なりの見解になるが詳しく説明しておこう。捕手へ完璧な返球をしていてもセーフだったかもしれない。一塁線へのゴロで流れながら捕球するもベースを踏むことで崩れかかった体勢を立て直すことができ、強い返球が可能となった。無理やり踏んだのではなく、あくまでも流れの中でのものだ。ベースがなければもっと難しいプレーになっていただろう。

 しかし、返球直前に三塁走者を見る余計な間があった。背中越しのプレーなのでベースを利用したあと躊躇なく返球という形がプレーの終わりとしては欲しかった。その前に全員で確認すべきことがある。それは三塁走者がどう動くかということ。

 打者が見逃した際、ファールした時に観察しておくのだ。カウントで変わる場合はあるが、ギャンブルスタートなのか、ゴロゴーか、ストップなのか、必ずキャッチできる。私も現場にいる時、このケースでは必ず内野手と確認をしていた。理に適わない動きをする走者ならライナーで戻れなかったり、捕手のピックオフプレーの餌食になる。浅村は出始めた時から常に注目していた選手で打撃だけでなく、日本で有数の内野手になる素質を持っている。今後が楽しみで仕方がない。

先発・高橋がピンチの場面で見せた“入り方”

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