パの「月別最優秀防御率投手」は? オリ山本由伸が唯一人複数回獲得

月間MVP受賞投手と、月別最優秀防御率投手を比較してみると…

 その点も踏まえて、ここからは月別最優秀防御率と月間MVP受賞者が異なる投手となった月をピックアップし、両者の成績を比較していきたい。

5月
月別最優秀防御率・山本:4試合 2勝1敗 27回2/3 22奪三振 防御率1.30
月間MVP・千賀:5試合 3勝1敗 36回 43奪三振 防御率1.75

6月
月別最優秀防御率・山本:4試合 1勝1敗 28回 29奪三振 防御率2.25
月間MVP・千賀:4試合 3勝1敗 25回 31奪三振 防御率2.88

7月
月別最優秀防御率・美馬:3試合 1勝0敗 22回 18奪三振 防御率1.64
月間MVP・山岡:5試合 3勝1敗 32回 37奪三振 防御率3.09

8月
月別最優秀防御率・種市:4試合 2勝1敗 28回 35奪三振 防御率1.61
月間MVP・ブセニッツ:14試合 1勝0敗11ホールド 13回 9奪三振 防御率0.00

 山本が2か月連続で最も優れた防御率を記録した5月と6月には、千賀がこちらも2か月連続となる月間MVPを受賞している。同時期の勝ち星は山本が5月に2勝、6月は1勝だったのに対して、千賀は2か月連続で3勝を記録。奪三振数でも千賀が山本を上回っており、防御率以外の点で明暗が分かれたと言えそうだ。

 自身初の2桁勝利を記録して最高勝率のタイトルも手にした山岡は、千賀と同様に今季のパ・リーグで大きな存在感を放った先発投手の一人。月間防御率では美馬に大きく差をつけられていたが、勝ち星や奪三振数といったポイントが評価され、自身初の月間MVPを受賞している。

 8月に関しては先発とリリーフの比較となったことで、一概に優劣が決めづらくなっている。ブセニッツは月間14試合の登板で、11ホールドと荒稼ぎ。防御率も0.00とまさに完璧な投球内容で、今季では唯一人リリーフ投手として月間MVPに輝いた。通年でも防御率1.94と素晴らしい安定感で、ニール同様に来日1年目から日本球界に適応したと言えるだろう。

 先発ローテーションの一角を担う投手の登板機会は基本的に1か月に3回~5回。短いスパンであっても、一過性の好調のみでリーグトップの成績をつかみ取ったケースは少なく、そのシーズン全体の調子や、投手としての能力が反映されるような結果となっているのが興味深い。

 月に1度でも大量失点してしまえば、その時点で月間MVPや月別最優秀防御率の獲得は絶望的となる。これらの勲章は、いわば月間を通して丁寧なピッチングを継続した証でもあるだろう。月間MVPとは異なる投手となっていることも多い、短いスパンでの先発としての支配力を示しているともいえる“月別最優秀防御率”を、来季以降も注視してみる価値はあるのではないだろうか。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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