夫婦で野球の歴史を明らかにした女性野球史家 ドロシー・シーモア・ミルズ氏死去

2017年には「ドロシー・シーモア・ミルズ障害功労賞」を制定

 ハロルド・シーモアの著作は、1960年の「Baseball The Early Years」、から始まり1971年の「Baseball The Golden Age」、1990年の「Baseball The People’s Game」と続いたが、妻のドロシーは、その大部分で夫の文章に手を入れた。特に最後の著作の刊行時、ハロルドはアルツハイマー病に罹患しており、37の章のうち13章は彼女の執筆だったと言われている。

 ハロルド・シーモアは1992年に死去。全米野球学会は「野球史最初の歴史家」だったハロルドの功績をたたえ、野球史の優れた研究者に贈呈する「シーモア賞」を制定した。ハロルドの著作の出版社、オックスフォード大学出版局が、妻のドロシーを「共著者」としたのは2010年のことだった。この年、ハロルドには「野球の父」の名を冠したヘンリー・チャドウィック賞が追贈されたが、妻の名前はなかった。

 ドロシーは夫の死後、再婚し、ドロシー・シーモア・ミルズとなる。以後も研究、著作活動を行った。2004年には「A Woman’s Work:Writing Baseball History With Harold Seymour」という回顧録を刊行。今では、野球史の分野で活躍する女性はたくさんいるが、その先駆けとなったのがドロシー・シーモア・ミルズだった。

 2017年、アメリカ野球学会は、彼女の功績を称え女性の野球人に贈る「ドロシー・シーモア・ミルズ障害功労賞」を制定。2018年の第1回受賞者は、女性審判のペリー・バーバー、2019年の第2回の受賞者は故ジャッキー・ロビンソン夫人で、夫の死後も野球界における黒人の地位向上に努力したレイチェル・ロビンソンだった。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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