【eBASEBALL】卓球で全国制覇を経験 異色の“二刀流”新井宇輝擁する中日が連敗止める

連敗が7で止まり喜ぶ中日・新井宇輝(右)と主将の菅原翔太【写真:安藤かなみ】
連敗が7で止まり喜ぶ中日・新井宇輝(右)と主将の菅原翔太【写真:安藤かなみ】

ヤクルトとの第3試合で脇直希が勝利し、約1か月続いていた連敗を7で止める

「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズン eペナントレース 第3節が8日、フジテレビ内特設ステージで行われ、第3試合で中日の代表選手・脇直希選手がヤクルトの代表選手・加藤誉士典選手を3-1で破って約1か月続いていた連敗を7で止めた。

 勝利の瞬間、喜びを爆発させている脇の隣で、現役高校生プロの新井宇輝(たかき)選手は目に涙が溢れ、しばらく顔をあげることができなかった。「あんな(いい)試合をされたら」と恥ずかしそうにはにかんだ新井の隣で、主将の菅原翔太選手も「悪い流れを作ってしまったあとであんなにいい試合をしてもらえると思わなかった」と脇に感謝した。

 苦しいシーズンを送っていた中日にとって、喉から手が出るほど欲しい白星だった。11月10日に行われた第2節の第3試合で脇が勝利を納めたのを最後に約1か月間勝利なし。e交流戦では12球団唯一の白星なし。「最下位で苦しいけど、あそこで(脇が)負けていたら戦線離脱していたくらい。繋ぎとめてくれた1勝でした」と菅原は、この1勝をありがたがった。

 勝利を求めすぎるあまり、白星を自ら手放していた。この日の中日は第1試合、第2試合ともに初回に大量得点を許し、序盤からヤクルトに主導権を握られた。第2試合に登場した新井は、無死3塁から絶好調状態(能力値が飛躍的に上がる状態)の2番・バレンティンを申告敬遠で歩かせ、続く3番・村上との勝負を選択。しかし村上に3ランを浴びると、そこから打者一巡の猛攻を浴び、初回にいきなり6点を失った。

「負けたくない思いが強すぎた」と肩を落とした新井。それでも「相手はヤクルトでよく打つチーム。1点勝負になるわけがないのに『0点でいかないといけない』と思って無駄に申告敬遠をしてしまった。守り切ろうというのが、弱腰に見えていたと思う」と切り替え、開き直って大胆な攻めに転じた。

 新井は「eBASEBALL 全国中学高校生大会」でベスト8まで勝ち進んだ実力を持ち、一方では卓球で団体戦で日本一を経験するなど全国区で活躍するアスリートとしての一面も持つ。怪我をきっかけに競技の継続は断念したが、今度はeスポーツの世界に飛び込み奮闘中だ。試合前には動体視力や反射神経を鍛えるための体操も欠かさず行い、画面を見つめる前に目の周りの筋肉をほぐすことも忘れない。

 まだ17歳のあどけない表情も見せる一方で、「自分は実績もなにもないのに、守りに行ったら勝てるわけない。次はケンカ投法ですかね」と強気な発言も光る新井の周りには常に笑顔が絶えない。菅原も「このチームで雰囲気が悪くなったら勝てない。それぞれのキャラクターが良い感じで噛みあってきました」と手応えを感じている。残り2節での上位浮上へ、強気を取り戻した昇り竜がセ界を席巻する。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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