10度の手術、縫合は191針に… 元燕・館山が語る「人体実験」から得た気付きと経験と

怪我は「失敗の歴史」、自分が松坂世代だったのも注目された理由のひとつ

――失敗の歴史という表現は館山さんにしかできないと思います。

「自分が思うのは、(人が語る)歴史って、本当は成功の歴史じゃないですか。でも、ここまで怪我して復活してとか、怪我することやリハビリがクローズアップされることもないです。これだけクローズアップされるのはなかなかなくて、それは自分が松坂世代というところで括られてたからだと思います」

――必要以上に注目をされていたのかもしれません。

「小久保(裕紀)さんだって8回、手術を受けていますし、でも、そこまでクローズアップされていないですよね。僕は大きな手術をたくさん受けているというのもありますが、同年代にマツ(松坂大輔)も(藤川)球児も(和田)毅もトミー・ジョン手術をした。(楽天の)久保裕也に関しても、トミー・ジョン手術も、血行障害も股関節の手術を受けている。ただ、僕は人より怪我の回数が多い。その失敗の歴史を、どこかで活かせたらと思います。これだけ失敗の歴史を言えるようになっちゃったっていうのは他には例がないと思うんです」

――現在もつまり、術後の経過を観察している状態ですか?

「リハビリをしないと、これだけ状態が上がってこないんだ、とまた違う側面からリハビリをとらえられて面白いです。勇気を持ってリハビリをしない決断、とでも言うんですかね。それはこんなにも状態が上がってこないんだなとか、毎日の積み重ねってとても大事なんだなとか感じています。リハビリが遅れた時に、どうやってどこから取り組もうかというのも、今すごく面白い自分の身体の変化ですし、もちろんいろんなことやってきたから遅れてみるのもありかなっていうのもあります。そこから発見もあるだろうし。人体実験ですよ」

――人体実験……考え方とか含め、何でも学びにしようという姿勢があるからできることだと思います。

「自分でやってきた経験もあるし。いろんな答えは一つじゃないし、反対側からも見える。実際(周囲は)はめんどくさいと思いますよ(笑)答え1つなのに2つ目探すとか言っているわけですから。でも、それが面白い!自分の中で!誰に言うわけでもないですが……」

 全力でやってきたからこその証。失敗の歴史というが、決して失敗ではない。

(新保友映 / Tomoe Shinbo)

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