2019年の巨人はどうだった? クロマティ氏×篠塚和典氏…“最強OB”の特別対談(1)

引退した阿部の役割を果たすのは? 「坂本がそういうものをやってほしい」

――岡本の素晴らしいところは?

篠「まだまだですよね。ジャイアンツの4番を打っていくには、ここという時に(打ってほしい)というのもありますし(メンバーから)外されないような信頼度(も必要)。チームメート(から)もそうですし、スタッフ(から)もそうですし。(4番から)外すということは監督が決めるときもありますし、コーチと決めるときもありますが、コーチが反対するくらいのものはまだまだないというところもあります。今年もしっかり見ていきながら、ジャイアンツの4番としてやっていけるかについては……よく言われるのは『成績を3年間続けていくと本人の安定感も分かってくる』ということです。どうしても他のチームの4番を打つのとはちょっと違うので。143試合をしっかり任せられるような土台をしっかり作ってほしいですね」

ク「彼は本当に努力しました。彼のフットワークは素晴らしい。敏捷性です。あの体格にしては非常に素早く動けます。彼は23歳とまだ若い。今年24歳になりますが、彼は成長を求めています。よく会話をするのですが、大リーグについて聞いてきたりします。彼は大リーグが好きなので。いかにメンタル的に集中するかについても話しました。若手にとって、とても大事なことです。オカモトさんはNPBでトップ5のパワーヒッターでしょう。しかも、まだ若い。波がないことが大事。どんな時でも安定性です」

――なかなか固定できない巨人の二塁はどうしたらいいか?

ク「タナカはセカンドでいい仕事をしていたと思いますよ。巨人はサードに空きがあります。私個人の意見ですが、オカモトさんはファーストで見てみたい。ジャイアンツはサードを探すのか。キャッチャーのポジションではもっと生産性を求めていきたいです。センターはオッケー。ライトも大丈夫。カメさん、マルさん。ショートはサカモトさんでオッケー。しばらくの間は安泰です。セカンドも手を打つのかもしれませんが、控え選手の強化も必要です。強力なベンチには、スピードの持ち主、左の代打、右打ちも欲しい。なぜなら、ソフトバンクはベンチもとても強力でした。英語で“depth(選手層の厚さ)”と言うのですが、ジャイアンツには厚い選手層という部分も求められると思います」

篠「(去年は)しっかりレギュラーとしてやっているのが、丸、坂本、岡本の3人だけでした。原監督の場合はいい(状態の)選手を使っていきます。固定してできる選手がいないからそうなってしまうのでしょうが、実際のところ期待に応えられる選手がいない。二塁もそうですし、岡本が一塁に行ったら三塁がいないですし、左翼は誰が守るのか。右翼の亀井にしても、しっかり後釜を考えないといけない。まだまだジャイアンツにはやることはたくさんあります。ピッチャーもそうですね。マシソンもいなくなってしまった。菅野も怪我を今年味わってしまったので、来年また戻れるかも心配です」

ク「どこもピッチャーを必要としています。巨人も。今年はスガノが故障で戦線を離脱しました。ブルペンがジャイアンツを牽引してくれました。先発投手に少し問題があった。どのチームもピッチャーは欲しいところです。今年、巨人はドラフトで即戦力の投手を1位で獲れなかった。ノーラッキーね」

――マシソン、阿部が引退して迎える2020年、重要なことは?

ク「アベさんはジャイアンツ在籍19年間。リーダーシップという部分ではアベさんを恋しく思うのではないでしょうか。若い選手はアベさんをリスペクトしています。アベさんの存在が、若手選手に緊張感を与えた。それはチームにとっていいことです。なぜなら彼の求めるものは集中力だからです。いつの日か、アベさんはすごくいい監督になると思いますよ。

 スコット(マシソン)は8年間も助っ人としてジャイアンツでプレーしました。私は7年間、彼は8年間です。それはチームメートとして素晴らしいということです。それが一番大事なことです。巨人にうまく溶け込むために、非常に重要な要素です。ジャイアンツのフロントは、次の外国人選手を探す際には自分とスコットに意見を求めてもいいかもしれませんね。我々は細かいことも理解しているので、外国人選手と話す際、そういったことも確認できる。外国人選手には日本のやり方を理解できるか、日本流でプレーできるのか、チームプレーをできるのか。日本流に切り替えられる選手かをジャイアンツが見極めるために、我々なら手助けができます」

篠「自分もコーチやっている時に、外国人選手になかなか本当に我々が思っていることが通じないことがありました。(過去に)一緒に戦った経験がある外国人選手がコーチとしていれば、外国人選手にとってはものすごくプラスになります。ジャイアンツは外国人選手をもっと獲ってくると思いますので、そういう意味ではクロみたいなコーチ、アドバイザー、こういう人材は確かに必要だと思います。阿部に関しては、彼に代わる選手は今のジャイアンツの中で誰かといったら、坂本くらいしかいない。坂本は意外と若い選手に怖いところもあります。阿部はズバッと言うので、若い選手はちょっとビビっていました。そのくらいしないと緊張感は出ません。ゲーム中でも、阿部は最近はベンチにいる機会が多かったので、意外とベンチの中はピリピリしていたと思います。そういう選手がいなくなるのはマイナス分もあるかなと。代わりとして、坂本がそういうものをやってほしいなと思いますね」

【続く】

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