群を抜く鷹・周東、続くオリ佐野&西武金子 パの盗塁企画率に優れた選手は?

周東は44.1%の割合で盗塁を企画、佐野は32.6%

○盗塁企画率ランキング(1位~5位)
1位:周東佑京(ソフトバンク)44.1%(30/68)
2位:佐野皓大(オリックス)32.6%(15/46)
3位:金子侑司(西武)30.5%(51/167)
4位:福田周平(オリックス)23.0%(44/191)
5位:木村文紀(西武)22.5%(25/111)

 1位の周東は、代走の機会が40回を超えていたこともあり、出塁数(22)を大きく上回る盗塁企画数(30)を記録。代走起用回数を含めた今回の計算でも、盗塁企画率は驚異の40%超えを果たした。2回に1回とも言えるペースで盗塁を仕掛ける姿勢は、国際舞台でも発揮され、2019年はその胆力と並外れた俊足の合わせ技で大きな飛躍を遂げた。

 そして、盗塁数ランキングでは12位タイだったオリックスの佐野が2位にランクイン。こちらも代走の出場が16回と多かったが、何より目立つのは15回の盗塁企画で12回の成功と8割の成功率を記録している点だ。30%を超える確率で盗塁を仕掛け、なおかつ8割の確率で盗塁を成功させるとあらば、バッテリーにかかるプレッシャーも相当なものだったろう。今季は打率.207と振るわなかっただけに、来季は打撃を向上し、さらに塁上を駆け回ってほしいところだ。

 そして今季の盗塁王、金子は3位にランクイン。盗塁企画数はリーグトップの51個を記録し、企画率も30%超えと、リーグ屈指の韋駄天として貫禄を見せた。成功率の面でも、前回盗塁王を獲得した2016年から.757→.758→.744→.804と伸ばしており、パ・リーグにとどまらず日本が誇る快足打者として成長を続けている。

 続く4位はオリックス・福田。ルーキーイヤーの2018年は16盗塁だったのに対し、2019年は倍近い30盗塁を記録した。盗塁企画数も、前年の25個から44個と大きく増やし、成功率も.640から.682へと向上させた。好守に気迫溢れるプレーでチームを率いる福田は、走塁面にも積極的な姿勢を見せていたと言えそうだ。

 5位は西武の木村だ。自身初の100試合出場を達成した2014年以来となる2桁本塁打(10本)を記録すると、走塁面でもキャリアハイに並ぶ16個の盗塁を決めた。しかし、同じく16盗塁を記録した14年は28.6%だったのに対し、今季の盗塁企画率は21.7%と振るわず。自身最多となる130試合に出場し進境を見せた今季であったが、来季は打撃に、走塁に、さらなる活躍を期待したい。

 ここまで見てきたように、「盗塁企画率」という切り口から順位を見ると、盗塁数のランキングとは異なった特徴があることが分かった。「盗塁がうまい(成功率が高い)」ことはもちろん評価できる点だが、塁に出た場面でより積極的に次の塁を狙う姿勢も、チームにとって大きな価値がある。

 周東のような盗塁のスペシャリストもいれば、福田のように果敢な走塁でチームを勇気づける選手もいる。成功率や盗塁の数といった表に出る記録の裏では「盗塁を仕掛ける」胆力が試されているとも言える。今回の計算は、あくまで細かな場合を省いた大まかな数値だが、盗塁の新しい見方と感じていただければ幸いだ。

(「パ・リーグ インサイト」成田康史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY