西武松坂、14年ぶり獅子ユニに「特に何も…」 平成の怪物が感じた時代の変化

14年ぶりに西武に復帰した松坂大輔【写真:宮脇広久】
14年ぶりに西武に復帰した松坂大輔【写真:宮脇広久】

松坂が“不在”の間に西武ユニホームは「レジェンドブルー」に変更、同僚の顔ぶれも一新された

 14年ぶりに西武に復帰した“平成の怪物”松坂大輔投手は宮崎・南郷キャンプ初日の1日、さまざまな違和感を覚えたようだ。

 練習終了後の記者会見。久しぶりに西武のユニホームに袖を通した感慨を聞かれると、首をひねりながら、しばし絶句。そして「ん~、デザインも変わってますからね……。特に何も思わなかったかもしれない」と苦笑した。

 そもそも色彩が大違いだ。松坂の在籍時代の西武のユニホームは、球団創設以来の伝統の「ライオンズブルー」。水色に近い明るい青が基調だったが、松坂が2006年オフにメジャーへ移籍すると、09年から紺系の「レジェンドブルー」に変わった。松坂が現在のユニホームに愛着が湧かないとしても無理はない。

 チームメートの顔ぶれも一新されている。松坂自身が「以前一緒にやったのは、栗山(巧)選手と中村(剛也)選手の2人くらい」と語っている通り。しかも中村は高知・春野でのB班(2軍)キャンプスタート。前日の1月31日、松坂が宿舎ホテルの食事会場でポツンと1人で座っているのを見て、同じテーブルに着いて話し相手になったのが栗山だったというのも、むべなるかなだ。西武在籍8年で108勝を挙げ、ポスティングシステムでメジャーに移籍した際には、球団に約60億円の入札金をもたらしたが、それも今は昔。むしろ、松坂にとって懐かしい顔は西口文也投手コーチ、潮崎哲也球団編成グループディレクターら、首脳陣やフロント、裏方に多い。

 一方、39歳という年齢は厳しい現実を突きつける。この日、メーンスタジアムとサブグラウンドを結ぶ急こう配の長い階段に目を白黒させていたが、本拠地メットライフドームも球場開設当時から、試合終了後にベンチ裏からロッカールームへと上る長い階段はベテラン泣かせの名物。松坂も20代の頃とは桁違いのつらさが身に染みることになるだろう。

 投球スタイルもしかり。この日改めて「今の僕の武器はスライダー系というか、カットボール。シーズンへ向けてしっかり仕上げていきたい」と強調した。プロデビュー当時に日本列島を席捲した剛速球をもう1度見せろというのは、無理な注文であることを松坂自身が痛切に自覚している。

 慣れない古巣の環境、新たな人間関係、そして39歳の肉体を受け入れ、生き抜いていこうとする松坂。そのためには、旧知の人々の協力が不可欠となりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

CATEGORY