鷹の育成右腕・尾形、支配下昇格のカギは? 投手コーチ「球がいいのは分かっている」

キャンプ初日にブルペン入りしたソフトバンク・尾形崇斗【写真:福谷佑介】
キャンプ初日にブルペン入りしたソフトバンク・尾形崇斗【写真:福谷佑介】

尾形は3日からスタートする打撃投手で早速、登板する予定

 宮崎市でキャンプをスタートさせた3年連続日本一を狙うソフトバンク。そのキャンプで注目株の1人に挙がるのが、育成選手ながら主力組の集うA組に抜擢された尾形崇斗投手だろう。

 2017年の育成ドラフト1巡目でホークスに指名され、学法石川高から入団。2年目を終えて、まだ2軍でのウエスタン・リーグでの登板も1試合しかないが、オフのアジアウインターリーグで10試合に登板して3セーブ、防御率0.77の好成績をマーク。11回2/3で23個の三振を奪った。

 浮き上がるような、力強い真っ直ぐを武器とする尾形。春季キャンプの3日目にはフリー打撃の打撃投手として登板が予定されている。A組の打者を相手に、打撃投手とはいえ、どういった投球をするか見ものだろう。

 支配下昇格を目指し、その有力候補とも見られている右腕。では、その支配下昇格を勝ち取るためのポイントとなるのは、どこだろうか。

 真っ直ぐと高い三進奪取率を誇る尾形。その真っ直ぐだけであれば、支配下昇格を手にしていいレベルにある。ただ、首脳陣がA組に抜擢して、見てみたいポイントは育成右腕の“武器”ではないようだ。

 高村祐1軍投手コーチは語る。

「尾形のボールがいいというのは我々も分かっています。ただ、彼の課題は変化球だったり緩急。どう打者を抑えるかというところを見たい」

 右腕の持つ真っ直ぐの質が優れていることは工藤公康監督をはじめ、投手コーチ、首脳陣は誰もが分かっているところ。ポイントとなるのは、むしろ“課題”の部分。尾形自身も変化球や緩急を課題に掲げている通り、ウイニングショット、そしてカウントを整えられる変化球に課題がある。

 どれだけ真っ直ぐが良くても、それだけでは抑えられないのがプロの世界、そして1軍の舞台。だからこそ、ウインターリーグとオフの間を通じて、その課題の部分でどれだけ成長したか、をホークスの首脳陣は見極めようとしているようだ。

 千賀滉大や甲斐拓也、牧原大成、そして昨季の周東佑京と、多くの1軍選手を輩出してきたソフトバンクの育成選手制度。ただ、闇雲に育成から支配下に昇格させるのではなく、明確な基準がある。それは「1軍の戦力になれるかどうか」である。

 ファームでプレーする支配下選手と同じレベルであれば、ソフトバンクでは支配下への切符は掴めない。3年連続で日本一となったハイレベルな1軍で29人の登録枠に食い込んで戦力になれるかどうか。支配下昇格のポイントはそこに尽きる。

 3日にはフリー打撃のバッティングピッチャーに登板する予定の尾形。その後はシート打撃、紅白戦と段階を踏んでいくことになる。課題を克服し成長した姿を見せ、1軍に通用するとアピールすることができるか、注目だ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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