打撃投手で152キロ…鷹古谷の意識変えた監督の言葉「四球でも申し訳ないと思うな」

アジアWLを視察した工藤監督から助言、オフには結婚した

 さらには、オフに派遣されたアジアウインターリーグ中には、工藤公康監督が開催地の台湾まで視察にやって来た。派遣されていた選手やコーチ陣のホークス勢全員で食事に行った際に言われた一言も大きかった。

「監督からは『もし使われて四球を出しても申し訳ないと思うな。使った首脳陣が悪いんだ、くらいに開き直って思い切ってマウンド行ったら投げてこい』と。そういう考えをすれば、楽だなと思いました」

 昨季まではどうしても四球を出すことを恐れていた。カウントが悪くなれば、四球を出せば、相手の打者よりもベンチの首脳陣が気になった。「首脳陣との戦いになっていて、そういうことが結構あって。自信持って投げられていなかった」。指揮官の一言で自信を取り戻すことができ、ウインターリーグでも手応えを掴む投球ができた。

 もちろん危機感もあった。今季が4年目。高卒で入団した古谷だが、今年のドラフトでは大学を卒業する同級生たちが指名される。「今年何とか1軍に長くいれるようにしないと、今年こそクビというのがあると思った」。育成選手には戦力外となった同期入団の選手もいる。次は自分かもしれない。そんな危機感が胸に芽生えていた。

 頑張らなければいけない理由もできた。このオフには20歳の若さで結婚。人生の伴侶を得た。「心境の変化はありましたね。結婚してなかったら、あそこまで自主トレも追い込んでやれてないと思うんです。今年は何としてもやらないといけない。自分1人ではないので。何としてもやらないといけない」。これまでにないほど、責任感が芽生えた。

「結果も出てない自分と結婚してくれた。いつクビになるかも分からない中で、1軍で1試合も登板してない、3軍でしか主に投げてないピッチャーと結婚してくれて感謝しているんです」

 新妻への感謝の思いも口にした古谷。2017年には「胸郭出口症候群」による血行障害が判明し、その後は投薬治療を続けている。保存療法では完治はしないものの、しっかりとアップを行って血流を良くするなど、病との“付き合い方”も覚えてきたという。

 キャンプ序盤、まずは強烈なインパクトを残した20歳、古谷優人。楽しみな若手が揃うソフトバンクにあって、次に台頭してくる“新星”はこの男かもしれない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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