移籍で叶ったツインズ前田健太の本懐 中継ぎ評価は「僕にとってプラスではない」

言葉に籠めた心奥の思い、リリーフでの好投で「『できるんだ』と思われてしまった」

 練習に先立ち、前田は報道陣の取材に応じ、その中で胸の中にしまっておいた思いを解き放つように言った。

「いいことも悪いこともあったかなと思いますし、単純にいい成績を残し過ぎてリリーフとしての評価が高くなったのは僕にとってプラスではない。『できるんだ』というふうに思われてしまった。勿論、マウンドに上がったら打たれたくないというのが一番なのでそれは仕方ないことですけど。ポストシーズンでリリーフで結果を残しても先発として評価されて、ここに来られた。そうやって見てくれた人もいたんだということは嬉しいです」

 ドジャース時代は2年連続でワールドシリーズに駒を進めたが、夢舞台での先発登板はいずれもないままで終わっている。チームの勝利へまさに大車輪の活躍であったが、その裏で不甲斐ない思いも生まれていた。

 昨季、ツインズ打線は大暴れした。史上初のシーズン300本塁打を記録。背番号「18」を前田に譲った正捕手ミッチ・ガーバーも31本塁打を放ち、打てる捕手の存在は頼もしいはず。そして、ウェス・ジョンソン投手コーチの存在は心強い。同コーチはアーカンサス大学投手コーチから昨年にツインズ入り。大リーグ150年の歴史で大学から一気に大リーグの投手コーチに上り詰める初のケースとなったが、速球のスピードをアップさせるなど独自のトレーニング法を採り入れた指導はプロの世界でも答えを出すのに時間はかからなかった。

 先のオドリッジは昨季、直球とスライダーの三振率を前年より大幅に引き上げることに成功している。ガーバー捕手は「ウェスは肩の筋肉を強くするトレーニングを独自に確立している。また、変化球の精度を上げそれをどう配球するかを理解しやすく説明してくれる。一人一人に寄り添うようにして意志疎通を図るのが彼のやり方だからさ」と話す。

 14日(日本時間15日)、ジョンソン投手コーチが見守るブルペンで前田は初投球を行う予定だ。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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