2番手のまま終わらない? 正捕手を狙う、支える…パ・リーグ“控え”キャッチャー事情

ロッテ、オリックスは正捕手争いが熾烈に…ソフトバンクは甲斐が不動の存在か

○ロッテ

柿沼友哉:26歳
34試合 64打数9安打 1本塁打2打点 10犠打 打率.167 出塁率.286 OPS.508
細川亨:40歳
31試合 6打数2安打 0本塁打1打点 2犠打 打率.333 出塁率.333 OPS.667
吉田裕太:28歳
32試合 47打数11安打 2本塁打7打点 4犠打 打率.234 出塁率.308 OPS.691
江村直也:27歳
23試合 31打数3安打 1本塁打4打点 2犠打 打率.097 出塁率.152 OPS.345
佐藤都志也:22歳
ルーキー(ドラフト2位)

 育成出身の柿沼はプロ4年目の昨季、田村の故障もあって出場機会を増やした。田村の復帰後もスタメンを任される機会をたびたび得ており、終盤に故障離脱するまで強肩や堅実なリードを武器に奮闘した。細川は豊富な経験を生かした巧みなインサイドワークを買われ、試合終盤に途中出場する「抑え捕手」としても活躍。2018年は田村が全試合に出場していたが、この1年間で捕手の層は確実に厚くなったと言えそうだ。

 その一方で、吉田は打撃面で数年来の不振を脱しつつあったが、自身も負傷したことで田村不在のチャンスを生かしきれず。江村もオープン戦で史上初の「ラグーン弾」を放ち、シーズンでもプロ初本塁打を満塁弾で飾るなど随所で派手な活躍を見せたが、課題の打撃を克服しきれなかった。新たな捕手の加入もあり、ともに来季こそはさらなる飛躍を果たしたいところだろう。

 そんな中で、大学時代の実績から「打てる捕手」として期待がかけられている佐藤が新たに入団。俊足好打のルーキーは既存の捕手陣にはない長所を持っているだけに、正捕手争いに割って入る可能性も十分に秘めている。25歳の若さで5年間正捕手を務めあげた田村がその座を守るのか、はたまた波乱が起こるのか。ロッテの新シーズンの捕手事情は、にわかに興味深いものになるかもしれない。

○オリックス

伏見寅威:29歳
39試合 61打数10安打 1本塁打9打点 0犠打 打率.164 出塁率.278 OPS.491
松井雅人:32歳
24試合 36打数7安打 0本塁打2打点 3犠打 打率.194 出塁率.256 OPS.451
(成績はオリックス移籍後)
山崎勝己:37歳
24試合 8打数0安打 0本塁打0打点 0犠打 打率.000 出塁率.000 OPS.000
頓宮裕真:23歳
28試合 91打数18安打 3本塁打10打点 0犠打 打率.198 出塁率.204 OPS.556

 オリックスでは年々出場試合数を伸ばしている若月が正捕手に定着しつつあり、その一方で第2捕手の座が明確に定まっているとは言い難い。それでも少なくない数の実力者が控えており、層としては決して薄いわけではないという点も含め、先述した日本ハムに近い捕手事情にあると言えそうだ。

 伏見は2018年には一塁手としての出場が多かったが、2019年は捕手としての出場が大半に。守備の負担が大きいポジションに戻ったこともあってか、前年に打率.274を記録した好打は影を潜めたが、開幕から第2捕手としてチームに貢献していた。しかし、6月18日の試合でアキレス腱断裂の重傷を負い、残りのシーズンを棒に振ってしまった。

 伏見の離脱を受けて6月末にトレード加入した松井雅は、シーズン閉幕までに24試合に出場。若月と同じく守備型の捕手ということもあって牙城を崩すには至らなかったが、中日での豊富な経験を生かして来季は定位置奪取をうかがいたいところ。プロ20年目を迎える大ベテランの山崎勝、打力を生かしたサード挑戦から、昨季途中に捕手へと再転向した2年目の頓宮もそれぞれ独自の武器を持ち、捲土重来の可能性はあるだろう。

○ソフトバンク
高谷裕亮:38歳
55試合 30打数5安打 1本塁打1打点 7犠打 打率.167 出塁率.286 OPS.552
栗原陵矢:23歳
32試合 39打数9安打 1本塁打7打点 0犠打 打率.231 出塁率.311 OPS.670
海野隆司:22歳
ルーキー(ドラフト2位)

 甲斐が不動の存在となっているソフトバンクの捕手陣にあって、ベテランの高谷が果たしている役割もまた非常に大きい。2018年には甲斐に次ぐリーグ2位の盗塁阻止率.385を記録した強肩と巧みなリードは周囲の信頼も厚く、試合終盤を任される「抑え捕手」としても活躍。波乱万丈の球歴を経てホークスに欠かせない存在となった高谷は、2020年もこれまで同様のいぶし銀の働きを見せてくれることだろう。

 栗原はプロ5年目の昨季に出場機会を増やし、記念すべきプロ初本塁打も記録。7月8日には延長12回の熱戦にピリオドを打つサヨナラ犠飛を放ってヒーローになるなど、主に打撃面で存在感を発揮した。来季は代打としてのみならずマスクを被る機会も増やし、攻守にさらなるレベルアップを果たして1軍定着をうかがいたい。

 ドラフト2位入団の海野は新人ながら春季キャンプで一軍に抜てきされており、首脳陣の期待も高そうだ。残念ながら右ひじの関節炎でリハビリ組に回ったが、回復後には1軍の捕手争いに殴り込みをかけたいところ。他にも、21歳の九鬼隆平と22歳の谷川原健太という打撃を武器とする2名の若手捕手が控えており、次代の主力捕手をめぐる争いは熾烈になりそうだ。

長いシーズンを戦うにあたって、「控え捕手」はチームに欠かせない存在

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