レイズ筒香を支える横浜高時代の同級生、佐野誓耶氏 父は元近鉄&巨人の元国氏
筒香はレイズに「佐野氏の帯同許可」を希望、打撃練習の投球で採用決定
昨年12月にポスティングでレイズ入りを決めた筒香が、希望として出したのが、「佐野氏の帯同許可」だった。ただ、挑戦する身であるため「主張は避けました」と瀬野氏。ところが、米国から筒香の練習を視察に来たレイズのニアンダーGMとキャッシュ監督は打撃練習で筒香に投げ込む佐野氏を見てその要望を快諾したという。
理由は、「うちには左投げの打撃投手が必要なんだ」だった。佐野氏曰く、「アメリカって面白いですね! 僕がそんな目で見られていたんですからね。それで決まっちゃうんですから」。
佐野氏の父親は近鉄、巨人で捕手としてプレーした佐野元国氏である。ギリシャ人を父に持つ元国氏は、横浜高校時代には帰化する前の「佐野クリスト」の名で、1970年代半ばに神奈川ナンバー1の捕手としてその名を全国に轟かせていた。この頃、記者も東海大相模高で野球に勤しみ、強肩強打の元国氏の凄さを目の当たりにしていたのだった。
フロリダの取材地で元国氏の愛息と邂逅することになるとは――。なんとも不思議な縁を感じる。
26年ぶりに電話で話す元国氏は感慨深げに言った。
「巨人のコーチ時代、僕は木田優夫(現日本ハム投手コーチ)君らを連れて当時ヤンキース傘下1Aのマイアミ・マーリンズで学ばせてもらったんですよ。思いでの地フロリダで今度は自分の息子が、これからたくさんの貴重な体験をさせてもらうことになるとはね」
フロリダ半島西岸の町ポートシャーロットで、人知れず紡がれた親子の相関の糸は蒼天に浮かび上がってくるようだった。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)