「目標は3割、30本塁打」―西武の野手転向2年目・川越誠司が目指す高み

西武・川越誠司【写真:荒川祐史】
西武・川越誠司【写真:荒川祐史】

オフには2年連続本塁打王の山川に弟子入りし自主トレをともにした

 投手から外野手に転向して2年目、川越誠司が西武にとって今季初の対外試合となった22日のロッテとの練習試合(高知・春野)で“チーム第1号アーチ”を放った。9番左翼でスタメン出場し、4回に種市の速球を右中間席へ運んだ。

「ホームランを打ったことより、その次の打席で、カウント3-0からど真ん中のまっすぐを見逃したことが悔やまれます」とまず反省点を口にしたことが、川越が置かれた崖っぷちの状況を表している。しかも「これはあくまで練習試合で、オープン戦すらまだ始まっていない」と、自覚しているからなおさらだ。

 北海学園大時代は左投げ左打ちの投打二刀流で鳴らし、2015年ドラフト2位で西武入り。最速149キロの速球を買われて投手として育成されたが、1軍登板に至らず、昨季から外野手に転向している。秋の台湾アジアウインター・リーグに参加して打率.367、3本塁打をマークし、秋山が抜けた外野のレギュラー枠争いに割って入ってきた。

 しかし、うかうかはしていられない。今年6月30日には27歳となり、もはや若手とはいえない。目の前のチャンスをつかめなければ、現役生活続行の危機に直結する。

 オフには、主砲で2年連続本塁打王、練習量でもチーム随一を誇る山川に弟子入りし、自主トレをともにした。この日も「カウント3-0からの4球目に手を出さなかったら、5球目もファウルにしかできなった。4球目を振れていれば(たとえ空振りでも)、5球目をとらえられていたはず」とアドバイスを送られたという。

「広角に強い打球を打てる選手になりたい。目標は3割、30本塁打」という。そこまで言うなら、俊足でもあるのだから、「トリプルスリー」とぶち上げてもよさそうなものだが、「まだ盗塁が下手。そこまで考えると頭がパンクします」と正直だ。「レギュラーを取る気持ちでやっていますが、(公式戦で)まだ1軍の舞台に立ったことがないので、まずはそこから」とも。

 ワイルドなひげ面が印象的だが、「剃るのが面倒くさいだけ。こだわりはありません。剃れと言われれば剃りますが、言われないから……」と人懐こい笑顔を浮かべる。ニックネームは「ゴエ」もしくは「ゴエモン」。今季一気にスターダムにのし上がりそうな雰囲気も漂わせている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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