「寒かったっす」「ワガママですが…」―西武山川が“降雪休暇”を返上した真意とは?

2回に生還し、ナインに迎えられる西武・山川穂高【写真:宮脇広久】
2回に生還し、ナインに迎えられる西武・山川穂高【写真:宮脇広久】

試合後には長尺のノックバットを振ってのロングティーに取り組み、快音を連発

■西武 1-0 ヤクルト(オープン戦・14日・メットライフ)

 14日の西武-ヤクルトのオープン戦は、試合開始の午後1時頃からメットライフドームの外に雪が降り始め、壁がなく柱で屋根を支える構造とあって、気温2度の冷気がグラウンドに流れ込む厳寒の中で行われた。西武・辻発彦監督は急きょ、思わぬケガを防ぐためレギュラー全員をスタメンから外したが、1人だけ例外がいた。主砲の山川穂高内野手が、本職の一塁守備にこそ就かなかったものの、「4番・DH」で先発しフル出場したのだ。

 2回先頭での1打席目に、ヤクルト先発の小川から中前打を放ち、2打席目は中飛。3打席目は2番手の五十嵐から四球を選んだ。辻監督は「山川は『打ちたい』と言うんでね……。2打席終わったときに『もういいんじゃない?』とも言ったんだけど」と苦笑いするしかなかった。

 山川は「ベンチに座ってるのが嫌だったんで。ハハハ。ワガママですが、小川さんと対戦したことがなかったんで、してみたかったのが1番の理由です」と説明し、「コントロールがいいし、タイミングをしょっちゅう変えてくる。さすが、セ・リーグでずっと活躍しているピッチャーだなと思いました」と語った。

 一方で、「寒かったっす。ヒットを打って、一塁からリードしたとき、(屋根の下に)外が見えて、大雪……これはイカンなと」と笑わせた。「表現は悪いですが、手は抜きましたよ。こういう日に全部全力では、そりゃ……ケガが1番マイナスなんで」とも。

 前日、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、苦悩の末、本塁打を放った際にファンと声をそろえて行う「どすこい!」パフォーマンスの当面自粛を決めた。テレビの前のファンに、自分が出場している姿だけは見せ続けたい思いもあっただろう。

 試合終了後、まだ打ち足りないと言わんばかりに、ホームベース付近から長尺のノックバットを振ってのロングティーに取り組み、バックスクリーンに飛び込む打球を連発した。見守った阿部真宏打撃コーチは「体全体をうまく使わないと、あの長いバットは振り切れない。体の使い方を確認するのに有効な練習です」とうなずいた。

 開幕の時期はまだメドが立たないが、2年連続本塁打王は独自の感覚に従って準備を整えつつある。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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