どうなる、西武松坂の開幕ローテ入り 西口コーチ断言せずも「先発以外の起用はない」

日本ハムとの練習試合で先発登板した西武・松坂大輔【写真:荒川祐史】
日本ハムとの練習試合で先発登板した西武・松坂大輔【写真:荒川祐史】

ノーワインドアップ、セットポジション、スプリット・チェンジ多投…試行錯誤が続く

 悪戦苦闘、試行錯誤の連続だった。西武に14年ぶりに復帰し開幕先発ローテーション入りを狙う松坂大輔投手が、22日の日本ハムとの練習試合(メットライフ)に先発。移籍後初勝利を挙げたが、5回84球、4安打4四球1死球4失点と課題の残る内容だった。

 降板後、球団広報を通じて「練習試合なので色々と試しながら投げました。収穫はあったと思います」などとコメントしたが、試合終了後は報道陣の問いかけに答えず。悔しさがにじんだ。2回2死満塁から松本に押し出し四球を与えるなど、日米通算22年目、170勝を誇るベテランらしからぬシーンもあった。

 初回と2回は振りかぶらず、正面を向きながらも両手をへそ付近に置くノーワインドアップで投球。3回以降は走者がいなくてもセットポジションで投げた。前回登板後、「セットポジションの時はいいが、振りかぶると球が浮く。しばらくはセットで投げてバランスを整えていくのも“あり”かな」と語っていただけに、しっくりくる投球フォームを模索している最中なのだろう。

 一方で、前回登板から投げ始めたという、フォークボールとチェンジアップの中間のような新球「スプリット・チェンジ」を多投。3回に王柏融を3球連続スプリット・チェンジで空振り三振に切って取ったが、4回には鶴岡にそのスプリット・チェンジを左前適時打された。

 西口投手コーチは「大輔を先発以外で使うつもりはない。開幕ローテ当確? いや、まだ他にも試合で試したいピッチャーはいるから」とお墨付きは与えなかった。だが、パ・リーグ連覇の陰で、チーム防御率が2年連続リーグワーストに沈み、特に先発が手薄で計算できるのは開幕投手を務めることが決まっているニールだけという現状では、2回に大量失点しても3回以降持ち直した、松坂のキャリアに裏打ちされた粘りは貴重といえる。

 シーズンでも5回4失点程度に抑えておけば、この日も14安打9得点と爆発した強力“山賊打線”が味方に付いているだけに、それなりに白星を積み重ねることができそうだ。平成の怪物と呼ばれた男は、苦しい闘いを続けながら自分の仕事場を切り開こうとしている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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