脚力自慢は一体誰? パ各球団の最多盗塁者から見る“韋駄天”の歴史

チーム内で確固たる役割を果たした楽天・聖沢やロッテの荻野貴

【楽天】
2010年:24盗塁
聖澤諒氏(135試合、打率.290)
2011年:52盗塁
聖澤諒氏(144試合、打率.288)
2012年:54盗塁(盗塁王)
聖澤諒氏(138試合、打率.270)
2013年:21盗塁
聖澤諒氏(120試合、打率.284)
2014年:9盗塁
岡島豪郎(142試合、打率.283)
松井稼頭央氏(128試合、打率.291)
2015年:15盗塁
聖澤諒氏(86試合、打率.252)
2016年:11盗塁
茂木栄五郎(117試合、打率.278)
2017年:7盗塁
ウィーラー(142試合、打率.271)
田中和基(51試合、打率.111)
2018年:21盗塁
田中和基(105試合、打率.265)
2019年:13盗塁
辰己涼介(124試合、打率.229)

 2010年から4年間は聖澤諒氏の独壇場に近い状態で、2012年には球団史上初の盗塁王を獲得。2年連続で50盗塁以上を記録し、現在の球団最多記録である通算197盗塁を記録した脚力は、まさしく球団史に残るものだった。一方、2014年以降はチームトップに立った選手の盗塁数自体が大きく減少しており、球団全体の盗塁数自体が控えめという事実も見て取れる。

 そんな中で、助っ人のウィーラーや当時ルーキーだった2016年の茂木栄五郎、2017年の田中和基、2019年の辰己涼介といった、やや意外な面々がチームトップの盗塁数を記録。2014年には同年10月に39歳となった松井稼頭央氏がチーム最多盗塁を記録するなど、全体の盗塁数がやや少ないからこその結果となった。

【西武】
2010年:59盗塁(盗塁王)
片岡易之氏(137試合、打率.295)
2011年:22盗塁
片岡易之氏(86試合、打率.230)
2012年:41盗塁
E・ヘルマン氏(144試合、打率.270)
2013年:40盗塁
E・ヘルマン氏(144試合、打率.319)
2014年:21盗塁
金子侑司(91試合、打率.247)
2015年:17盗塁
秋山翔吾(143試合、打率.359)
2016年:53盗塁(盗塁王)
金子侑司(129試合、打率.265)
2017年:37盗塁
源田壮亮(143試合、打率.270)
2018年:34盗塁
源田壮亮(143試合、打率.278)
2019年:41盗塁(盗塁王)
金子侑司(133試合、打率.251)

 2007年から2010年まで4年連続で盗塁王のタイトルを獲得した片岡氏、在籍2年間でいずれも40盗塁以上を記録したヘルマン氏、ルーキーイヤーから2年連続で30盗塁以上をマークした源田壮亮、直近4年間で2度の盗塁王に輝いた金子侑司と伝統的に多くの快足選手を輩出している。上記の顔ぶれと各選手が残した数字を見ても、機動力を使える選手がほとんどの期間で在籍していたことがうかがえる。

 2015年は日本記録であるシーズン216安打を記録した秋山翔吾がチーム最多の盗塁を記録したが、NPBでの通算盗塁成功率は.633と高いとは言いがたい数字だ。一方で、2011年の片岡氏や2014年の金子のように盗塁に長けた選手であっても打率.250を下回ったシーズンにおいてはやや盗塁数が伸び悩んでおり、打撃面の成績は盗塁数にも影響するようだ。

【ロッテ】
2010年:25盗塁
荻野貴司(46試合、打率.326)
2011年:41盗塁
岡田幸文(144試合、打率.267)
2012年:23盗塁
岡田幸文(131試合、打率.262)
2013年:26盗塁
荻野貴司(102試合、打率.275)
2014年:15盗塁
荻野貴司(40試合、打率.261)
2015年:18盗塁
荻野貴司(82試合、打率.269)
2016年:16盗塁
荻野貴司(71試合、打率.250)
2017年:26盗塁
荻野貴司(103試合、打率.264)
2018年:39盗塁
中村奨吾(143試合、打率.284)
2019年:28盗塁
荻野貴司(125試合、打率.315)

 荻野貴司が直近10年中7シーズンでチーム最多盗塁を記録しており、持ち前の俊足を生かして存在感を示し続けている。試合数を見てもわかる通り、ケガで長期離脱を強いられたシーズンも多く、各年の数字自体は抜群に多いというわけではない。だが、わずか46試合で25盗塁を稼ぎ出した2010年に代表されるように、出場した試合では着実に盗塁を稼いでいる。

 また、2011年に41盗塁を記録した岡田幸文氏や、2018年に39盗塁を記録した中村奨吾のように1シーズンで多くの盗塁数を記録した選手は存在したが、パ・リーグの6球団で唯一、直近の10年間で盗塁王を1人も輩出していない球団となっていた。プロ10年目で初めて規定打席に到達した2019年の荻野貴も、その実力からすれば同年の盗塁数はやや伸び悩む結果に。今季は2年連続で規定打席に到達し、自身初の栄冠を手にできるだろうか。

オリックスの野中やソフトバンクの周東は出番が少なくても盗塁数は多い

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