“号泣″した夜から堂々の始球式 野球美女・坪井ミサトのメンタルの秘密

タレントでスポーツ女子の坪井ミサトさん
タレントでスポーツ女子の坪井ミサトさん

目標は始球式で100キロ台!公式ホームぺージ「MISATO no TSUBO!」を開設

 見ている側にも緊張が十分に伝わってきた。2019年8月17日、ヤフオクドーム(PayPayドーム)で行われたソフトバンク対西武戦で始球式を務めたのが、モデルで女優の坪井ミサトさん。力を抜くために軽くジャンプして、リラックス。マウンドからボールを投げると、ノーバウンドでソフトバンク捕手の甲斐のミットへボールが収まった。目標の100キロには到達しなかったが見事な「94キロ」。表情には笑顔が戻った。そこに“涙”はなかった。

 1週間前に、ナゴヤドームでも始球式を行っていた。力みすぎて捕手の前でワンバウンドしてしまい、実力の半分も出せなかった。頭は真っ白になり、その夜、見に来てくれた家族と食事した席で「悔しくて、悔しすぎて、ずっと泣いていました」と“号泣”したという。野球を楽しみに見に来ていたファンに申し訳ない思いでいっぱいだった。「何が何でも、次はいい球を投げる! その気持ちだけでした」と、1週間で投げ込みやトレーニングも行い、成果をきちんと出した。

 ホークス戦の始球式でも、前日から緊張し「心臓の鼓動が聞こえてきた」ほどだった。イメージトレ―ニングを何度もして、「大丈夫だよ」「楽しめ、楽しめ」と自分に言い聞かせた。「全然、大丈夫じゃなかったんですけど、とにかく力まないように投げようと思って、挑みました」と、まるで試合前の野球選手のように高ぶる気持ちを落ち着かせて、ノーバウンド投球につなげた。

 気持ちの浮き沈みやメンタルの変化は始球式の様子だけでは、見ている人には伝わらない。坪井さんは自身の経験を文字化し、残していこうとオフィシャルホームぺージ「MISATO no TSUBO!」を開設した。毎日パソコンに向き合い、記事を執筆している。「どちらかといえば理数系でした」と文章を書くことは決して、得意ではない。1つの記事を書くにも「2~3時間、下手したら半日ぐらいかかっています。全神経、集中を研ぎ澄ませて書いているので、凄く疲れています」と笑う。

 小学校1年生から9年間もやっていた野球のこと。女の子だって野球で頑張れること。これから始めるゴルフのこと。マラソンのこと。自分がやっているトレーニングや料理などを詳しくわかりやすく、時には面白く描いていきたいという。「私らしく書いていきたいですね」と話す。

「私らしく」とはいったい何か?

「記事を見て『参考にしたい』『真似したい』など『元気もらった』とか見てくれた人を明るい気持ちにしたいなというのはあります。始球式などでも、いろんな部分の“調整”をすることが多いので、そこに対する気持ちの持って行き方、自分がやってきたことなどを紹介したいです」

 行動で示していきたいという。「成長していく姿を見てほしいです」。華々しい始球式の“好投”だけでなく、悔し涙を流すくらいの苦しい経験も、形に残していく。読者と思いを共有し、ひとつの糧としていきたい思いもある。

 今春はロッテの石垣島でのキャンプをリポートするなど取材者としても活動している。選手のインタビューも行ったが、取材の難しさを痛感した日々だった。「事前の準備で選手の情報を頭に入れることで、いっぱいいっぱいでした。もっと、選手が話しやすい質問を考えていかないといけなかったです」と反省しているが、幼い頃からの野球経験から生まれた技術や用具についての質問、プレーヤー目線のリポートは坪井さん“らしさ”は出ていたように見えた。

「とても勉強になりましたし、ロッテのことも好きになりました。もっと楽しいインタビューになるようこれからも頑張っていきたいと思います」

 父と兄についていった少年野球のグラウンドが大好きだった少女は、気が付いたら男の子に混ざって泥だらけで白球を追いかけていた。喜びも悔しさも野球と一緒に味わってきた。それは今も変わらない。壁にぶつかるかもしれないが、それでも目の前のことに“全力投球”で、前に進んでいく。

◇坪井ミサトオフィシャルサイト「MISATO no TSUBO!」http://misatonotsubo.com/

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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