イチローのバットには“芯”がない!? 鑑定家・前野重雄さんが明かす王貞治との共通点

1999年、マリナーズのキャンプに招待参加したイチロー氏、オープン戦初戦の入場券も宝物に

 前野さんは「イチローさんは決してホームランバッターではないですから、私は『普通の芯の広いバットを使えば、簡単に打率4割イケるんじゃないか』と考え、お父様(イチロー氏の父・鈴木宣之さん)に伝えたことがありました。しかし、『ああ、そのことなら、本人も知ってますよ』とあっさり言われてしまいました」と明かす。理屈ではなく、イチロー氏の感覚に合ったバットだったということなのだろう。

 イチロー氏は99年、当時オリックスと提携していたシアトル・マリナーズのキャンプ(米アリゾナ州ピオリア)に招待され体験参加。前野さんもピオリアまで追いかけ、3月7日のオープン戦初戦(対パドレス)を観戦した。未使用の入場券にイチロー氏のサインを入れてもらい、いまも所有している。

「正式なメジャー移籍前ではありますが、紛れもなくイチローさんの“メジャー初戦”ですから、60万円くらいの市場価値があると思います」と自ら“鑑定”。未使用であること、選手のサインが入っていることによって、価値はグンと上がる。「この試合では、パドレスの伝説的な強打者で首位打者を8回獲得したトニー・グウィンが、ライトのイチローさんとセンターのケン・グリフィーJr.の間を抜く二塁打を放ちました。イチローさんは『あの打球の勢いにしびれました』と言っていました」と振り返る。

 その2年後、正式なメジャー移籍初年度の2001年のピオリアキャンプも忘れられない。現地で会食した際、イチロー氏は「前野さん、エドガー・マルティネスって、すごいですよ」と、当時38歳で“史上最強のDH”の異名を取っていたベテランの名前を挙げた。キャンプイン前のある日の朝、イチロー氏が1番乗りのつもりで球場入りし、ロッカールームでストレッチを始めると、既にランニングを終え汗だくになって帰ってきた選手がいた。それがマルティネスだったのだ。

マルティネスのサイン入りユニホームをイチロー氏にプレゼントするとキャンプ初日のバットをゲット

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