マサカリ、トルネード、サブマリン… 野球少年は誰もが真似た個性豊かな投球フォーム列伝

「あっちむいてホイ投法」の岡島秀樹もNPB・MLB双方で活躍した【写真:Getty Images】
「あっちむいてホイ投法」の岡島秀樹もNPB・MLB双方で活躍した【写真:Getty Images】

始球式でも度々、登場してファンを沸かせる村田兆治の「マサカリ投法」

○「マサカリ投法」村田兆治

 通算215勝のロッテのエース。振りかぶると左腰をぐっと高く上げて体全体を傾がせて。剛速球を投げ込む。この豪快な投法は、マサカリを振り下ろして木を伐る動作に似ていることから「マサカリ投法」と呼ばれた。村田は1983年に「トミー・ジョン手術」を受けて翌年復活。以後は毎日曜に登板し「サンデー兆治」と呼ばれ注目を集めた。テレビで紹介される機会が増えたことで「マサカリ投法」は多くの人が知るところとなった。

○「トルネード投法」野茂英雄

 1989年、史上最多の8球団が指名する中で近鉄に入団。新人から4年連続最多勝を記録し、一気にパのエースにのし上がる。大きく振りかぶって左腰を高く上げ、そのまま体を半回転させて背中を打者に見せる個性的な投法は「トルネード(竜巻)」と呼ばれた。「制球が悪くなる」と矯正させようとした指導者もいたが、野茂は従わなかった。この投法から剛速球、フォークを投げ込んだ。野茂はMLBに移籍してからもこの投法で投げた。

○「UFO投法」山内泰幸

 1994年ドラフト1位(逆指名)で広島入団。1年目に14勝を挙げる。セットポジションから始動時に、右ひじをぐっと高く上げてから投げ込んだ。ひじを上げるしぐさが、ピンクレディーの「UFO」の振りに似ていたことから「UFO投法」と呼ばれた。コーチの指導もあって、山内は一時期この投法をやめたが、普通の投法で投げると制球が悪くなったために元に戻した。

○「あっちむいてホイ投法」岡島秀樹

 巨人、日本ハムなどで救援投手として活躍した左腕。リリースの際に、顔が三塁側を向くフォームから「あっちむいてホイ投法」「ノールック投法」と呼ばれた。若いころは制球が悪かったため投手コーチは矯正を指示したが、岡島は拒否してこの投法のままで制球力を改善した。打者を幻惑する効果はあったようだ。MLBに移籍後は、このフォームでクローザー、セットアッパーとして活躍。「Autopilot Man(自動操縦男)」などと呼ばれた。

 現役投手の中にも変則フォームの投手は何人かいるが、「○○投法」と名付けられるのは1軍で活躍した選手に限られる。どんなフォームで投げても好成績を上げなければ、話題にならないのがプロの世界だといえよう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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