【私が野球を好きになった日8】謎の解説者・お股ニキ氏が衝撃を受けた3チームとは
お股氏が考える理想のチームとは「その年の完成度見たら…」
この時、お股氏の興味をグンとメジャーに引き寄せたのが、インディアンスだったという。1995年のインディアンスは100勝44敗という圧倒的な成績でシーズンを終えると、リーグ優勝決定シリーズでマリナーズを下し、ワールドシリーズに進出。惜しくもブレーブスに敗れたが、スター揃いのチームだった。
「あの打線を見て、かなりビックリしましたね。8番のソレントでも25本ホームランを打っていたくらい(笑)。僕はアルバート・ベルが好きだったんですけど、ケニー・ロフトンもいて、エディ・マレーもいて、オマー・ビスケルもいて、ジム・トーミとかマニー・ラミレスが若かった。このチームを見た時、90年の西武と同じような衝撃を受けました。あとは(グレッグ・)マダックスですね。当時だとメジャーは体の大きい人が力で投げているイメージがあったのに、こんなに頭を使って緻密なピッチングをする人がいるんだっていうのも衝撃でした」
そんなお股氏にとどめを刺すかのように現れたのが、1998年のヤンキースだった。この年、114勝48敗、実に勝率.704という成績で東地区を制すると、ワールドシリーズではパドレスに4連勝して優勝。「その年の完成度を見たら、メジャー史上でも最強クラスに強いチームだったと思うんですよ」と話す。
「ジーターが3年目で、バーニー・ウィリアムズ、ホルヘ・ポサダがいて、9番のスコット・ブロシャスでも3割19本塁打98打点だったんですよ。先発もみんな10勝以上していて、デビッド・ウェルズは完全試合もした。後ろも抑えにマリアーノ・リベラ、セットアッパーで左のマイク・スタントン、右のジェフ・ネルソンがいて、先発は6回まで投げれば大丈夫という感じだったんです。全部が完璧で、僕の中の理想のチームなんですよ」
そんなお股氏は「今、大学生だったらフロント入りを目指して球団に入っていたかもしれませんね」と笑うが、現在は「究極のファンの立ち位置」を楽しんでいるという。
「僕はあくまでファンという立場で、プレーそのものを見るのが好きなんですよ。それが今、僕の声が選手に届いて、それを採用して試合で言っていた通りの球を投げてくれたり、活躍してくれたり。僕は本当に選手が好きだし、実際のプレーを見るとやっぱりすごい。選手がすごいから、僕の妄想や理想を本当に実現してくれる。ある意味、それを見るのがファンとして究極の喜びなんですよね」
お股氏が次に受ける衝撃はどんなものなのか。もしかしたら、自身の声が衝撃を生むきっかけになることもあるかもしれない。
【お股ニキ情報】
3月に著書「ピッチングデザイン 2020年代を勝ち抜く一流投手の条件」(集英社)を刊行。オンラインサロン「NEOREBASE」にも参加している。
(佐藤直子 / Naoko Sato)