【私が野球を好きになった日11】元燕・川崎氏に野球本来の楽しみを教えた恩師の存在

小学4年生でいきなり投手に抜擢「ランナーがいるのにワインドアップで投げたり…」

 小野監督は選手起用も大胆だったようだ。小学4年生のある日、川崎氏はいきなり試合でピッチャーを任されたという。

「いきなりピッチャーをやってこいって、マウンドに上げさせられたんですよ。それまで練習もしたことないのに、いきなり(笑)。ルールも全く分からないから、ランナーがいるのにワインドアップで投げたり、そういうチョンボもあったんですけど、とりあえず三振は取れたんですよ。それをどこか楽しみに感じたんでしょうね。こんなことでもなかったら、ピッチャーはやってなかったですよ」

 後に大分県立津久見高校から1988年ドラフト1位でヤクルトに入団し、最多勝タイトルを獲る投手が、小学生時代の大胆起用から生まれたというのだから、人生は面白い。

 小野監督に野球の面白さを教えてもらった川崎氏は、中学や高校で厳しい練習を課されても、野球を好きな気持ちを失わずにいられたという。

「今の子どもたちはかわいそうだな、と思うのは、最初から勝ちにこだわる野球をしようとするでしょ。まずは野球の楽しみを知ることが大切だと思います。野球ってレベルが上がるにつれて、いずれ勝負にこだわらなければいけなくなるんですよ。そのためにきつい練習も必要になる。そこで野球の本当の楽しさを分かっていないと、苦しい野球は続けられません。僕は小野監督のおかげで続けられたと思っています」

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