「赤ちゃんのような純粋さを持っている」 日本ハム栗山監督が中田に向ける“愛情表現”

今シーズンからキャプテンは西川遥輝「間違いなく何かを自分でも感じ取ってると思う」

 最後はツンデレで締めくくって報道陣を笑わせたが、こんなに温かく見守ってもらえる中田は幸せな選手だなと思った。思い返せば、中田の入団1年目に指揮を執っていた梨田昌孝監督も当時「母性本能をくすぐる」と話していたことがあった。放っておけない“やんちゃキャラ”が、周囲の人を惹きつけるのだろう。

 取材ノートをめくると、栗山監督と中田の2人の師弟関係は、こんなにほのぼのとしたものばかりではないことが分かる。栗山監督が中田をキャプテンに指名して迎えた一昨年のシーズン。中田が30歳の誕生日を迎えた4月22日のノートには「本当にいろんなことがあって、翔と向き合って、無茶苦茶なことも言った。なんでもいいんだ。あいつが本当に俺のことを殺してやりたいと思うぐらいでもいいんだ。翔が輝く方がいいんだ」と書いてある。物騒な物言いの中に、本物の愛情を感じる。

 2014、16年と2度、打点王のタイトルを獲っても「こんなもんじゃない」と言い続けてきた栗山監督が中田に求めるものは高い。能力を最大限引き出すためにあの手この手を使ってきた。17年11月のファンフェスティバルで突然、中田をキャプテンに指名したのもその一つ。あの時は「翔が打たないとチームが勝たないことは証明されている。6年間、中田翔が気になってしょうがない。いろんなものを背負わせるか、逆に楽にするか……」と語っていた。

 2年間務めたキャプテンを西川遥輝外野手に譲ることになった今季、中田はオープン戦13試合に出場して32打数11安打9打点3本塁打、打率.344と絶好調だった。「間違いなく何かを自分でも感じ取ってると思う」と、その変化に目を細めていた栗山監督。9年目を迎えた師弟コンビに今年はどんなドラマが待っているのか楽しみだ。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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