12球団で“過小評価”されている好投手は誰? セイバーメトリクスの指標で分析

リリーフでは阪神の島本が「tRA」2.57と目を引く存在に

 そして、その2人に続いたのが阪神の高橋遥人投手。昨季は19試合、109回2/3を投げて3勝9敗という成績に終わったが、tRAは3.24と12球団の中でも3位。4位のソフトバンク千賀滉大投手(3.36)、5位の今永昇太投手(3.42)よりも優れている。黒星が大きく先行した高橋だが、守備から独立した投球内容では球界でも屈指の数値を叩き出している。

 では、リリーフではどうか。30イニング以上に投げたリリーフで見ていくと、この「tRA」で最も優れていたのは、阪神のピアース・ジョンソン投手(今季はパドレスへ)。1.36という数字を叩き出し、12球団の投手の中でも抜群の成績だ。これに続くのが、中日のジョエリー・ロドリゲス投手(今季はレンジャーズへ)で1.80だった。

 3位以下の上位の顔ぶれを見ると、日本ハムの宮西尚生投手(1.89)や阪神のラファエル・ドリス投手(1.93、今季はブルージェイズへ)、楽天の松井裕樹投手(1.96)と続く。そのトップ10の中で目を引くのが8位に入る阪神の島本浩也投手。tRA2.57はDeNAのエドウィン・エスコバー投手や巨人の中川皓太投手、ソフトバンクの守護神である森唯斗投手らを上回る。

 では、勝利貢献度を示す「WAR」ではどうか。山口の6.6がトップで、5.9の千賀、5.2の今永と続き、山本は5.1で4位となる。トップ10にはオリックスの山岡泰輔投手、日本ハムの有原航平投手、阪神の西勇輝投手、広島の大瀬良大地投手と入り、巨人の菅野智之投手が10位だった。阪神の高橋も3.3と12位に入っている。リリーフで「WAR」がトップなのは楽天の松井と元阪神のジョンソンで2.9。これに西武の増田達至が2.8、DeNAのエスコバーが2.7で続いた。

「tRA」や「WAR」で見ても、やはり山口や千賀、山本、今永といった球界を代表する投手は高い数値になる。その中で先発で言えば高橋遥、リリーフでは島本のように、目立たないながら、いい働きをしている選手がいる。こうした選手はもっと評価されても良さそうだ。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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