「記念に残るよ、と冗談を」篠塚氏が振り返る、槙原氏のバックスクリーン3連発被弾

“史上最後”の完全試合男、敬遠の球打たれてサヨナラ負け…数多き“槙原伝説”

 それ以降、鋭いスライダーは槙原氏の新たな“代名詞”となっていった。野手から教わったというのは意外だが、篠塚氏は「マキはよく腕を振れる投手でしたから。われわれ野手の腕の振りとは違う。あれだけ振れれば絶対に曲がるだろうな、とは思いましたよ。マキは今も、本音かお世辞かわかりませんが、『シノさんに助けられた』と言ってくれています」と笑う。

 1994年、槙原氏は5月18日の広島戦(福岡ドーム=現PayPayドーム)で史上15人目の完全試合を達成。同年限りで現役引退することになる篠塚氏は、この試合に出場していないが、もしスライダーを教えていなかったら、果たして快挙は成し遂げられていたかどうか。その後、現在に至るまで日本のプロ野球に新たな完全試合達成者は現れていない。野球解説者やタレントとして活躍中の槙原氏は、『ミスター・パーフェクト』と呼ばれている。

「若い子がいいピッチャーになっていく時は、下半身が大きくなっていくものです。斎藤も、桑田も、マキも、高校からプロ入りしてきた当初は投手としては線が細かったのですが、年々下半身が大きくなっていって、これは大成すると感じました」と篠塚氏。

 槙原氏はクローザー転向後の1999年6月12日の阪神戦(甲子園)でも、新庄剛志氏に敬遠の球をサヨナラ打されるなど、良くも悪くも“伝説”を数多く作り、その舞台はなぜか甲子園での阪神戦が多かった。通算159勝128敗56セーブと非凡な成績を誇るが、記録以上に記憶に残る名投手だ。

【動画】“スライダー伝授”、バックスクリーン3連発被弾、完全試合…篠塚和典氏が槙原寛己氏について語る実際の映像

RECOMMEND

CATEGORY