内野より広い外野はなぜ3人で守るのか? 昔の球場はフェンスなしの“球拾い”

19世紀末から野手はグラブをはめて守備に就くようになり、フライを捕ることが容易に

 11人で野球をやっていた時代は内野手は5人、外野手は4人だった。9人制になってからは内野手4人、外野手3人になった。当時の外野手は内野手より人気がないポジションであり、守備がうまくない選手がなることが多かった。

 しかし、19世紀末から野手はグラブをはめて守備に就くようになり、フライを捕ることが容易になった。それとともに外野手にも高い能力や技術が求められるようになった。また、この時期から左利きの優秀な打者が登場するようになった。タイ・カッブのように当時から右投げ左打ちの打者もいたが、トリス・スピーカーやベーブ・ルースのように左投げ左打ちの強打者も多かった。

 野球では左利きの野手は一塁か外野しか守ることができない。それもあって外野を強打のスター選手が守ることが多くなり、外野手のステイタスは高まったのだ。外野手の中には俊足を飛ばして大飛球をキャッチする選手も増えて、それが野球のだいご味になった。また強肩の外野手が、走者を刺すプレー(補殺)も、見せ場となった。

 しかしながら、今に至るも外野に飛んだ打球は、内野に飛んだ打球よりも圧倒的に安打になる確率は高い。記録サイト「Baseball Reference」によると2019年のMLBでは、内野には5万7309本の打球が飛んだが、安打は4452本。打率は.079だった。これに対し外野は6万8206本の打球が飛び、安打は3万7538本。打率は.560だった。安打のうち内野安打は10.6%、9割近くが外野に飛んだ安打だった。

 野球の草創期と同じく、今の外野手にとっても「安打を長打にしないこと」は重要な仕事になっている。

1972年の日本シリーズでは王貞治の打席で外野4人シフトも

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