なぜ栗原を2番で起用した? 劇的サヨナラ勝ちの開幕戦で見えた工藤監督の“変化”

「最初からバントはしない、繋がりのある打線でどんどん点を取っていこう」

 だが、今年は長打も期待できる上林を1番に据え、そして開幕戦という大舞台でプロ初の開幕スタメンとなる栗原を2番に置いた。意外というのが正直なところだった。工藤監督は試合後、栗原を2番に起用した狙いを「彼が残してきた成績、調子も含めて、ですね。繋がりも考えて、攻撃的な打線を組みたいという思いもあった。打撃コーチ、ヘッドコーチも含めてですね、話をした。最初からバントはしない、繋がりのある打線でどんどん点を取っていこうという思いで2番にさせてもらいました」と語った。

 この采配が的中した。8回は上林が二塁打で出塁し、栗原が左前安打でチャンスを拡大。柳田の犠飛で先制点を生んだ。延長10回は代打の明石が出塁すると、牧原が犠打。上林の二ゴロで走者が三塁に進み、最後は栗原が決めた。思惑通りの“大量点”ではなかったものの、この上位打線がこの日の全得点を生んだのは事実だ。

 昨季は、得点力の少なさが優勝を逃した一因でもあったソフトバンク。調子の良い打者を上位に置く、繋がりを重視し複数得点を狙う、簡単にバントはしない……。今季のスタートを切った2020年開幕戦。劇的なサヨナラ勝ちは、工藤監督とソフトバンクの大きな変化を感じる1勝だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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