グラブ譲り受けた亡き友に捧げた二塁打 中日京田が墓前に届ける誕生日プレゼント

中日・京田陽太【写真:荒川祐史】
中日・京田陽太【写真:荒川祐史】

7月4日は4月に亡くなった中井諒さんの誕生日「一緒にショート守ってきます」

 分厚い雲に覆われた都心上空。プレーボールのころには、雨は止んでいた。もう、涙雨はいらないということだろうか。7月4日、東京ドーム。中日・京田陽太内野手にとっては特別な日、特別な場所だった。「今日は諒が最後に守った東京ドームなので、一緒にショート守ってきます!」。そうLINEをくれ、デーゲームの巨人戦へと向かった。

 1回裏の守備。京田はベンチから誰よりも早く駆け出し、形見のグラブとともに、遊撃の定位置に立つ。脱帽し、「誕生日おめでとう」とつぶやいた。7回にはフェンス直撃の二塁打。あと数センチで本塁打という当たりを悔やむ。勝利を届けることはできなかったが、試合後にバットのグリップエンドにペンを走らせた。

「7/4 諒の誕生日」。グラブをもらったお返し。誕生日プレゼントを、墓前に届けるのだと言った。

 青森山田高時代の2学年後輩で、同じ遊撃手として高め合ってきた中井諒さんが、今年4月に亡くなった。通夜に参列するため大阪へと向かう道中、京田は連絡をくれた。「残念です」。文面で表情や声色は分からずとも、すこぶる明るい普段の姿とは明らかに違うのは容易に想像できた。

 社会人のNTT西日本でプレーしていた中井さんの人柄をよく知らなくても、京田の話を聞いているとすぐに想像できた。「やばいっすよ。まじで。あいつの守備はエグいっすから」。球界を代表する遊撃手へと歩みを進める男が、一ファンのように目を輝かせる。「これすごくないですか?」と言ってスマホで見せてくれたのは、昨年6月の都市対抗予選で中井さんが決勝の2ランスクイズを決めた映像。「僕はこれを見て鳥肌立ちました」とうれしそうだった。

昨年末の結婚式、闘病中の中井さんの参列は叶わなかった

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