ヤクルト黄金期の不動の1番 飯田哲也氏が守り続けた広い中堅と恩師との約束

拓大紅陵を全国区にした故・小枝守監督の教え「子供には夢を、大人には技と感動を」

 飯田氏は恩師の言葉をずっと守ってきた。高校からプロに進む際、拓大紅陵の故・小枝守監督から「子供には夢を、大人には技と感動を」と贈られた言葉を大事にしてきた。短い言葉にはプロ野球選手としての在り方が凝縮されている。最高のパフォーマンスで子供に夢を与え、大人の野球ファンには感動を呼ぶ高度なプレーを見せないといけないという意味だ。それがプロ野球の世界なんだとも教わった。

 夢を与えながら、技術を磨いた。外野守備ではフェンスをよじ登り、大きな当たりを捕球すると、敵味方かかわらず、大きな声援が送られていた。「(ジャンプ捕球の)練習はしていましたよ。でも、フェンスに登る時は本能で、着地のこととかそこまで考えていませんでした。今はもう……できませんよ」と笑うが、当時は真剣に準備をしていた。周りから、嘲笑されても「子供たちにホームランボ―ルを取るところを見せたい」とポリシーを貫き、己を磨いた。その努力は数々のスーパープレーとなって、多くの野球ファンの心に刻まれた。

 06年で現役を引退した後は07年から13年までヤクルト、15年から昨年までソフトバンクで外野守備走塁コーチなどを努めた。今年は解説者、母校・拓大紅陵の非常勤コーチとして活動をしていく。“技の伝道師”として、また新たな野球の魅力を伝えていく。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY