連夜の“四球苦”が山賊打線に与える影響も? 専門家が指摘する西武の泣き所

西武・辻発彦監督【写真:宮脇広久】
西武・辻発彦監督【写真:宮脇広久】

西武は一時1点差に迫るも救援陣が四球から崩れた

 西武は16日、敵地の楽天生命パークで楽天に4-7で敗れて連敗を喫した。先発の高橋光成投手は6回を8安打5失点と乱調だったが、打線の奮起で一時は1点差まで詰め寄る展開に。ただ、リリーフ陣が四球から流れを作れず、終盤に突き放された。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間、バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は「勝敗を分けたのは中継ぎのピッチャーの差。勝ちパターンの投手たちが、四球が絡んで我慢しきれずに打たれている」と分析した。

 1点差に迫った直後の7回、西武は平良を投入。先頭の鈴木にいきなり四球を与え、追い上げムードに水を差した。後続を抑えて事なきを得たものの、続く8回に登板した平井が試合を決められてしまった。1死二塁から8番の太田に四球を与えて一、二塁に。2死までこぎつけたものの、1番の小深田に対して制球が定まらずに歩かせて塁が埋まり、好調の鈴木に左翼線への2点タイムリーを許した。

「絶対に鈴木に回したくない場面。小深田で終わらせないといけなかったと思います。四球は明らかなボール球。あれだと、捕手も打ち取るリードにならない。ストライクが入る球種を探すことになってしまいます」。元捕手の野口氏は、女房役の苦しい状況を推し量る。楽天は6回以降に登板した4投手のうち四球を与えたのが牧田の1つだけ。それだけに両チームの違いは顕著だった。

 西武は前夜15日の同カードでも、先発の今井が7四球を与えて5失点と乱調。0-11と大敗した。連夜の「四球苦」が敗戦に直結しているとも言え、野口氏も「雨が降る中で長い時間守らされたら、野手の集中力が切れることも出てくるかもしれません」と、自慢の山賊打線に影響を与える可能性も指摘する。

 主力のバットが湿りがちなのも、王者・西武が波に乗れない一因にもなっている。この日も、2番・源田、3番・外崎、4番・山川、5番・栗山、6番・中村がそろって無安打。源田、中村にいたっては打率2割台前半と苦しんでいる。「チャンスは作れど、その先が……という感じでしょうか。あと1本が出てない印象です」と野口氏は語る。

 好調の楽天とは対照的に投打が今ひとつ噛み合っていない印象だが、まずは救援陣が役目を果たすことが先決だとみる。「四球に関しては投手の問題。技量だと思います。ストライクが入らないと、捕手だって困ってくる」とあえて厳しい言葉を送る野口氏。“自滅”さえなければ、どこからでも得点が奪える山賊がお目覚めの時を迎えるかもしれない。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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