燕・高橋奎二が“一皮むけた”1球で今季初勝利 OB沢村賞右腕が称えた勝負球とは?

野球解説者でヤクルトOBの川崎憲次郎氏【写真:編集部】
野球解説者でヤクルトOBの川崎憲次郎氏【写真:編集部】

不運なスタートとなった初回、高橋自身が見せたバント処理と牽制球も「大きかった」

 そして、もう一つ「あのプレーも大きかった」と振り返るのが、初回に高橋が見せた軽快なバント処理と牽制球によるアウトだ。立ち上がり、先頭の陽川をセンターフライに打ち取ったかと思えたが、中堅を守る山崎晃大朗がグラブの土手に当てて落球(記録はヒット)。嫌な形で走者を背負ったが、2番・近本光司がマウンド手前に転がした送りバントを高橋自らが捕球して二塁で封殺。さらにその直後、俊足の近本を牽制球で誘い出してアウトに仕留め、失点危機を免れた。

 2回に1点の援護をもらった高橋は、先にリズムを掴み始めた阪神先発の藤浪晋太郎につられるかのように調子を上げ、プロ入り最長となる8回を108球で投げきった。「今まで経験したことのない未知の領域を知り、勝ち星がついたことで大きな自信になったでしょう」と話す川崎氏は、近い将来には先発ローテの一角として重要な役割を担うであろう23歳左腕が、さらにステップアップするためのポイントをこう語る。

「どの試合でも大きな山となる場面は3回くらいやってきます。そこを失点せずにいかに自力で押さえられるか。そして、味方のエラーなどイレギュラーな展開を迎えた時や、相手打線が絶好調な時にどんな対応策をとれるか。こういった点が大事になってくると思います。今はまだ1軍経験も浅いので、マウンドでの立ち姿を見ても、まだどっしりと構えてるようには見えませんが、今日のようなピッチングを次回以降も続けられれば、今シーズンが終わる頃には自信や雰囲気を持った姿に変わっている可能性はありますし、そうなっていてほしいですね」

 先発投手陣が手薄なヤクルトにとって、高橋の成長は欠かせない。この日のピッチングを次回以降へどう生かせるか。2020年は期待の左腕にとって大きな意味を持つシーズンとなりそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

CATEGORY