NPB復帰目指す元オリックス佐藤世那の覚悟と後悔 「笑ってられる立場じゃない」

現在はクラブチーム『横浜球友クラブ』で練習を続ける元オリックス・佐藤世那【写真:荒川祐史】
現在はクラブチーム『横浜球友クラブ』で練習を続ける元オリックス・佐藤世那【写真:荒川祐史】

「独立リーグが近道なのはわかってる」あえてクラブチームを選択した理由

 サイドスローへの転向など試行錯誤しつつも、球団からは3年目のオフに戦力外通告を言い渡された。新たなスタートを切る場所として、NPBに近い独立リーグではなく、クラブチームを選んだのには理由がある。

「独立リーグの方がNPBへの近道になるというのはわかっていた。でも、怪我を抱えているなか、戦力外になって1年で戻れるという自信がなかった。独立もプロである以上、給料を払って戦力として取ってくれるわけですし、NPB以上に代わりの投手はいない。どこかで手術を受けなきゃいけないとは思ってましたし、取っていただいたチームに迷惑をかけるわけにもいかない。環境や待遇も考えて上で、僕にそこまでの覚悟がなかったということ」

 選手の自主性を重んじる高校時代と同じクラブチームの環境で、かつてのフォームを模索し練習を再開。高校時代に計測した自己最速の149キロには及ばないものの、球速も144キロまで戻ってきている。だが、NPB復帰を目指すなかでコロナ禍が到来。今秋トライアウトに向けては、焦らず状況を見定めている。

「NPBへ戻る目標のためだけに野球をやっている。そこは今も変わってません。今のところ受けたい気持ちはありますけど、そもそも例年通り開催されるのか。トライアウトを受けるからには、ダメだったら諦めるくらいの思いをかけて臨まないと。自分の年齢、状態、自信や世の中の情勢次第。まだわからないです」

 それでも、NPBに届かないままズルズルと現役を続けるつもりはない。「今23ですが、あと1年かなと思ってる。大卒社会人2年目が、ドラフトでも大体ギリギリ。どうなるかはわからないですけど、どんなにやってもそこまでしかできないと思ってます」。残された時間はあとわずか。自らの意思で手術を拒んだ高校時代同様、悔いを残すつもりはない。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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