鷹・柳田悠岐が溢した「悪いのは千賀」の真意 後輩のミスを救えなかったエースへの叱咤

ソフトバンク・柳田悠岐(左)と千賀滉大【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・柳田悠岐(左)と千賀滉大【写真:藤浦一都】

エースだからこそ後輩の2失策をカバーする投球をして欲しかった

■ソフトバンク 8-7 オリックス(11日・PayPayドーム)

 ソフトバンクの柳田悠岐外野手が11日、本拠地PayPayドームでのオリックス戦で3安打2本塁打5打点と大暴れし、チームを逆転勝ちに導いた。2回にリードを5点に広げる13号2ランを放つと、逆転を許した6回には右手1本で右翼ホームランテラス席へ運ぶ逆転の14号3ラン。今季2度目の1試合2本塁打で勝利に貢献した。

 この日のヒーローインタビューで柳田はこう言った。「『お前は悪くない、悪いのは千賀』だって言いました」。逆転3ランを放ち、ダイヤモンドを一周して本塁を踏むと、そこで待ち受けていた川瀬晃内野手の頭を軽くポンポンと叩き、かけた言葉だった。

 川瀬は5回に先頭の安達のゴロを弾くエラーを犯し、さらに山足の遊ゴロで周東からの送球を捕球できず。この回2つ目のエラーでピンチを拡大させてしまった。この後、先発の千賀は吉田正に適時打、T-岡田には逆転の満塁本塁打を浴びて、一気に6失点。5点あったリードは一瞬にしてなくなり、逆に1点のビハインドを背負うことになった。

 6回の逆転弾はこの川瀬が四球を選んで出塁したところから始まった。柳田は「ヒカルが四球を選んで出てくれたのでなんとかしたいなと思っていました。若い選手ですし、ショックが大きい。チームが勝てば切り替えてできると思ったので、それだけ考えてました」と振り返り、なんとか後輩のミスを帳消しにしたいと思って入った打席だったことを明かした。

 ただ「悪いのは千賀」と語ったのは、決して冗談ではなく、本心から出た千賀への叱咤でもあった。試合後には「千賀が悪いでしょ。エースと言われているのでそこはやっぱり。川瀬の気持ちは分からないだろうなあ、彼には」と柳田。2つの失策を犯した若い川瀬に責任を感じさせないためにも、何が何でも抑えて欲しい。それがエースのあるべき姿だ、と柳田は千賀に求めたかった。

「チームのみんなが思っていると思いますよ」とも語っていた柳田。エースだから、千賀だからこそ、仲間が求める役割は大きい。そんな思いもあって溢れ出た「悪いのは千賀」の言葉だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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