衝撃のロッテ初登板にみた澤村拓一の覚悟 球団OBが分析する井口監督の思惑とは

ロッテで守護神として活躍した小林雅英氏【写真:編集部】
ロッテで守護神として活躍した小林雅英氏【写真:編集部】

ロッテ日本一に導いた守護神も緊迫した場面で何度も投げてきた

 小林氏も2年目の2000年、中継ぎで自分の居場所を気づかせてくれたのは緊迫した場面だった。中継ぎ転向初登板だった日本ハム戦でリリーフしたのは無死満塁の大ピンチだった。

「そこでの集中力は高かったです。無事に三振と併殺に仕留めて、無失点でした。1つのアウトをがむしゃらに取りにいくというスタイルがあの時、見つかりました。今回の澤村くんも全てのパフォーマンスを出せたんじゃないかなという気がします。いいところで投げさせてもらったし、あるべき姿を取り戻した。今回は良いトレードだと言えると思います」

 メジャーも経験した小林氏からすると「アメリカのトレードは優勝争いをしているチームがやるもの」という見解だ。プレーオフやワールドシリーズで優勝するために7月末までに戦力補強をする。

「必要とされていくというのがトレードの認識なんですけど、日本はそういうところがあんまりなく、ネガティブなイメージを持つ人もいます。でも今回は優勝の可能性があるチーム同士のトレードですから、ポジティブなトレードだと思います」

 今回が前向きであるという証明になる例になることを願っている。トレードによって得た新しい環境は、違った変化をもたらしてくれるかもしれない。

「これから、10試合、20試合と投げていく中で、失敗もするだろうし、ずっと成功するかもしれない。失敗したときに、どうやって立て直すかも注目です。というのは、今まで声をかけてきてくれた人とは違う新しいメンバーが彼にアドバイス、激励を言いにくる。何年も同じチームでやっている人の声掛けはあんまり変わらないかもしれないけど、新しい監督、コーチ、チームメイトからの言葉は変わってくる。そこでもう一回、切り替えてできるかどうか。多分、すごく変わってくると思います」

 そして、最後にロッテのリリーバーの先輩として一言、エールを送ってもらった。

「ZOZOマリンスタジアムは、マウンドに出て行く場所がライトスタンドの脇から、リリーフカーで出るんですけども、ライトスタンドからの声援、後押しがすごい。本当はもっとお客さんがいるときに、初めて感じて欲しかったですが、そういう雰囲気を作ってくれるのは、ロッテのファンの方は上手だと思う。あまりテンション上がりすぎて、興奮しすぎてはだめかもしれないですが、冷静さと興奮をすごくいいバランスで保っていって、優勝に貢献していって欲しいと思います」

 2005年にリーグ2位でプレーオフを勝ち抜き、リーグ優勝と日本一となったがリーグ1位での優勝は1974年から遠ざかっているロッテ。46年ぶりの悲願達成のキーマンとして、さらなる活躍を期待したい。その時は大歓声を背に力のあるボールを投げ込む、澤村拓一の姿がきっとあるだろう。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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