西武の正捕手・森の苦悩 スタメンマスクで6連敗、辻監督「でんと構えて」

31歳の岡田は最近スタメン5試合全勝

 球界関係者の間には「攻めのリードが持ち味の森が、今季は結果が出ないことで弱気になっているようだ」と指摘する声もある。この日は4回1死一、三塁で、打率.195の9番・清水を迎えると、前の打席で甘く入った146キロのストレートを左翼席へ運ばれた(2号2ラン)とはいえ、ストレートはカウント0-2と追い込んでからのピッチアウトの1球だけ。その後3球連続フォークの配球で四球で歩かせ、自分たちの首を絞める形になった。

 それでも、辻監督が「あいつはウチの打線に絶対必要なバッター」と断言するように、森の打撃技術は突出している。対照的に先発マスクをかぶった試合で結果を出している岡田は、今季打率.069で本人が「打率がなくなってしまいそう」と嘆くほどだ。

 捕手は守備優先のポジションといわれ、打順は下位のケースが多い。しかし、だからこそ、古田敦也氏が活躍していた時代のヤクルト、現在ヘッドコーチ代行の阿部慎之助氏が大黒柱だった頃の巨人など、希少価値の高い“打てる捕手”を抱えるチームは、それだけで大きなアドバンテージを得る。

 また、森は4年前の2016年に49試合で右翼を守ったが、翌17年以降は捕手以外の守りに就いたことがない。今季に至っては、DHでの出場もない。西武ではDHにふさわしい選手が他に、栗山&中村のチーム野手最年長37歳コンビ、メヒア、山川らいくらでもいて、25歳の森を当てるのはいかにも惜しい。

 辻監督は今月17日のオリックス戦に敗れた直後、「友哉にはキャッチャーとして、でんと構えていてほしい。他のキャッチャーを使うのは簡単だが、いろいろ克服しながら、そういうキャッチャーになっていかなきゃいけない」と改めて捕手として期待を寄せた。先発マスクをかぶった試合で勝っていないという事実を踏まえ、一方で森本人の精神面もケアしながら、どう使っていくか。指揮官は難しい舵取りを求められている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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