BC栃木・西岡剛がシーズン残り1か月で契約したワケ 同僚・川崎宗則から受ける刺激
二塁手・西岡を成長させた2人の遊撃手、川崎の存在は「昔のプレーとイメージが甦る」
そして今年はもう1つ、野球が楽しい理由が増えた。それが同じく9月1日に正式契約した川崎宗則の存在だ。3歳上の「ムネさん」とは、2006年の第1回WBCで日本代表としてともに戦い、二塁・西岡、遊撃・川崎の二遊間で世界一に輝いた。
二塁手・西岡を語る上で、欠かせない遊撃手が2人いるという。それが、ロッテの名遊撃手・小坂誠氏(現ロッテ育成コーチ兼走塁コーチ)と川崎だ。
「僕がセカンドを守っている時に楽しくプレーできたショートの方は、小坂さんと川崎さんです。プロ駆け出しの頃、小坂さんは僕のプレーに合わせ、僕自身の良さを引き出して下さいました。代表で二遊間を組んだ川崎さんは、これまで唯一、感覚だけでプレーを楽しめた方。川崎さんがいると、昔のプレーとイメージが甦ってきます」
川崎とはプライベートでも親交は深いが、日本代表を除き、同じチームでプレーしたことはなかった。「いつか一緒にやりたいね」と話していた夢が、栃木で実現。それは「野球が大好き」という2人の想いが引き寄せたものだと思っている。
「お互いに若い時に出会って、歳を重ねて、でもまだ野球を続けている。それは2人とも野球が好きだから。今まで案外、一緒にプレーできずにいて、それも仕方ないと思っていたんですよね。それがコロナの影響でマイナス要素もいろいろあった中で、2人とも野球が好きというポジティブな想いを持ち続けたからこそ、この栃木で混じり合ったんだと思います。僕にとっては奇跡的な感じなんですよ」
栃木でも元気いっぱいのプレーで野球と向き合う川崎に「僕が一番刺激をもらっていると思います」と言う。9月22日の茨城戦では二塁・西岡、遊撃・川崎の二遊間が実現。10月4日の神奈川戦でも二遊間を組むことになっている。
2人が加入したことでチームの若手選手も大いに刺激を受けているようだ。ベンチの雰囲気が一変された、早々にプレーオフを決めていたチームが一層引き締まったといった声が、西岡の耳にも届くという。
「NPBの選手でもメジャーの選手でも、元々は野球が好きで始めたはず。ただ、やっぱり仕事になると楽しむことが難しくなる。プレッシャーがかかってメンタル的にも落ちて、苦痛になってくるんですよね。楽しむべき状況と、緊張感を出すべき状況と、そのバランスや切り替えを分かっているのは、川崎さんや僕ら経験者でもある。適度な緊張感を保ちながら、練習や試合を楽しむ。そこを若い選手には感じてほしいですね」
たかが1か月。されど1か月。来季に向けた自身のステップアップ、NPBを目指す若手選手に伝えたいメッセージなど、さまざまなエッセンスが凝縮された日々を過ごしていく。
(佐藤直子 / Naoko Sato)