高木守道監督が下した2軍コーチ“降格” 平野謙氏が語る12年中日の意外な真相

2軍コーチとの入れ替えも2週間で復帰「スタッフミーティングの内容が…」

 開幕から2か月もたたない5月、平野氏は「ファームで気分転換してこい」と言われ、2軍の上田佳範外野守備走塁コーチと入れ替えに。報道陣や周囲には降格人事にも映った。だが、この“交代劇”には、別の理由もあったという。あれから8年がたち、平野氏は懐かしそうに振り返る。

「スタッフミーティングの内容が新聞に出ちゃって、その情報をしゃべったのがなぜが僕だとされていたみたいで。全く記憶になかったんですが(苦笑)。ファームに行くのは全然良かったんですが、『僕は絶対に話していません』とは言いましたね」

 入れ替えから約2週間後、平野さんは再び1軍に合流。「情報の出所が分かったんだなと思いましたね」。今となっては笑い話だ。もちろん、三塁コーチとして「自分がもっとやれればよかったんだろうけど」との思いも強い。その後は一塁コーチを任され、高木監督が退任する2013年まで支えた。

 わずか2年間だったが、平野氏にとっては特別な日々でもあった。愛知県出身で、ルーキー時代から10年間プレーした中日は「僕の原点」。25年ぶりにユニホームに袖を通すことができたものも、高木さんが声をかけてくれたからだった。

「監督をやめられてからも、会った時には『いつも怒ってばっかりで悪かったな』って気遣ってくれましたよ。僕は守道さんの性格もよく分かってるし『全然大丈夫ですよ!』って」

 ユニホームを脱げば、情に厚い兄貴分。高木さんと過ごした日々は、平野さんの中にもずっと大切に息づいている。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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