「優勝争いをしているチームとは思えない」元MLB右腕がパ首位攻防戦に見た鷹の敗因

ロッテ・井口資仁監督(左)とソフトバンク・工藤公康監督【写真:福谷佑介、藤浦一都】
ロッテ・井口資仁監督(左)とソフトバンク・工藤公康監督【写真:福谷佑介、藤浦一都】

阪神OB藪恵壹氏がポイントとした7回裏の2球とは…

■ロッテ 3-1 ソフトバンク(9日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは9日、本拠地にロッテを迎えた首位攻防戦に1-3で敗れ、2位ロッテにゲーム差なしで並ばれた。先発ムーアが初回に大荒れだったが、なんとか2失点で食い止めて試合を作ったが、“鷹キラー”ロッテ二木康太の前に打線は沈黙。2回から追加点が挙げられずに敗れた。

 それでは、この日の首位攻防戦。勝敗を分けたポイントはどこにあったのだろう。

 阪神OBで元メジャーの藪恵壹氏は「7回裏の攻撃にある」と見る。

 7回裏、ロッテは先発・二木が再びマウンドに戻った。90球を投げ、やや疲れが見え始めていた二木だったが、5番・グラシアルから始まるソフトバンク打線は隙を突けなかった。グラシアルが初球の外角フォークを遊撃ゴロとすると、続く栗原陵矢は同じく初球ストレートを二塁フライ。藪氏は「簡単にアウトをあげすぎた」と指摘する。

「この回は二木投手にとって山だった。それなのに、グラシアル選手と栗原選手は2球で2アウト。簡単にアウトをあげすぎました。二木投手はホッとしたはずですよ」

 ただ、この日のソフトバンク打線は二木の前に沈黙。その流れを変えようと、初球から積極的にスイングしていった気持ちは「分かる」とも言う。

「特に栗原選手は、前の2打席が見逃し三振、見逃し三振ときている。それだけに甘く入ってきたストレートを振りにいった気持ちは分かります。ただ、二木投手は100球に差し掛かろうというところ。グラシアル選手と2人で、もう少し球数を投げさせても良かったでしょう。じっくりと深いカウントまで持っていけば、二木投手の方から崩れる可能性はあったと思います。あの2球で二木投手を助けてしまいました」

 実際、試合の流れはロッテに傾いてはいたが、一方的な展開になっていたわけではない。初回にソフトバンク先発ムーアが乱調で、ロッテは無死満塁の絶好機を作りながら2点を入れただけ。3回と4回にも追加点機があったが生かし切れないなど、ミスもあった。それだけに2点を追う7回裏、ソフトバンク打線が「優勝争いをしているチームとは思えない淡泊さ」で、不用意に早打ちをしたことが悔やまれるという。

 2年目・藤原恭大の3安打、ルーキー高部瑛斗のプロ初安打などで勢いづいたロッテだが、藪氏は「第2戦もロッテが勝てばその勢いのままシーズンを走り抜けそうな気もしますね」と予測する。首位攻防戦の行方を決めかねない第2戦にも注目だ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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