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涙こらえた“最後のキャッチボール” 燕・五十嵐が語った最高の戦友・石川との絆

ヤクルト・五十嵐亮太投手が、15日、都内の球団事務所で引退会見を行った。五十嵐投手をずっと取材をしていた私にとって、引退のニュースを目にした時、ついにその時が来てしまったのかと寂しい気持ちでいっぱいになった。忘れられない瞬間がいくつもある。

引退会見を行ったヤクルト・五十嵐亮太【写真提供:ヤクルト球団】
引退会見を行ったヤクルト・五十嵐亮太【写真提供:ヤクルト球団】

現役生活23年、お疲れ様でしたと伝えたい

 ヤクルト・五十嵐亮太投手が、15日、都内の球団事務所で引退会見を行った。五十嵐投手をずっと取材をしていた私にとって、引退のニュースを目にした時、ついにその時が来てしまったのかと寂しい気持ちでいっぱいになった。忘れられない瞬間がいくつもある。

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 今年は新型コロナウイルスにより、なかなか取材も例年通りとはいかず、五十嵐投手と話したのは2月の浦添キャンプが最後になってしまっていた。一人、黙々と走り込んで汗を流す姿を少し離れたところから見ていたら、こちらまで来てくれ、息を上げながら「今年もよろしくお願いします。きついけどね、頑張りますよ」と声をかけてくれた。その時の“やってやるから見ててくださいね”という熱い思いのこもった瞳が忘れられないでいた。

 そんな、五十嵐投手の引退会見。会見前、報道陣や球団職員の方も、口々に感慨深いですね…と寂しい気持ちが隠せなかった。それが五十嵐投手が周りから愛されていた証。しかし、いざ始まってみると五十嵐投手本人は「もう他でいっぱい泣いてきちゃったんですよ」と清々しい笑顔で臨み、何度も「プロ野球選手になれて良かった、楽しかった」と口にして、涙は見せなかった。明るく振る舞っていた。

 ただ、きっと泣くのを我慢していたのだろうなと思うような、目元が少しうるんで見えた瞬間もあった。

「可能性を信じ続けてやってきたけど、継続して結果が出せなくなってしまった」と胸の内を明かした時。そして、同級生の石川雅規投手との“最後のキャッチボール”をした時のことを明かした時だった。

 石川投手に引退を電話で告げた翌日、たまたま練習で戸田に来ていた左腕とキャッチボールができた。「若い頃からずっとこうやってキャッチボールをしてきたけれど、もうこういう時間はないのだろうなと思って涙がこぼれそうになってしまいました」。その情景を想像しただけでも胸が締め付けられる。

 石川投手と五十嵐投手。高卒の五十嵐投手と大卒の石川投手は入団の時期は違うけれど、同い年。練習の時はいつも2人で会話をしている姿があり、話を聞けば「あいつはすごい」とお互いを尊敬しあい、切磋琢磨しているのが見ている私たちにも伝わってきた。

 お互い野球が大好きで、どうしたら上手くなれるか、どうすればバッターを抑えられるか一緒に考えながらやってきた。若手の頃から練習の時はいつもお互いがキャッチボールの相手だった。

「昔から、すごくきれいなフォームだなと思いながらやっていたんです。お互い意見を言い合える中だし、そういった会話のことを思い出したり、キャッチボールの時にする彼の顔なんか、もう絶対勝てないなと思うほどいいんです。それを見ていると、涙がこぼれそうになってきて。近くに若手もいたし恥ずかしいんで我慢しましたけど、ああ、こういう気持ちで彼とはキャッチボールできなくなるんだなと思うと、辛く寂しくなりました」

 辛い、とまで言ったその時の五十嵐投手の表情を見て、私の方が涙を我慢できなくなりそうだった。

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