ファンと選手が試合直前に触れあうことも… 西武がCiscoと歩む、スマートスタジアムへの道

家族と応援に来ていた10代の男性は突然始まったニール投手とのグリーティングに参加【写真:海老原悠】
家族と応援に来ていた10代の男性は突然始まったニール投手とのグリーティングに参加【写真:海老原悠】

ファンは試合直前の選手たちと短い会話を楽しむ

 そのうち、ファン側のメッセージボードが突然ビデオ会議のディスプレイに切り替わると、そこには微笑む選手が。ファンは試合直前の選手たちと短い会話を楽しんだ。西武広報によると、足を止めてメッセージを眺めている選手も多いとのことだ。

 家族と応援に来ていた10代の男性は、メッセージを描いている途中に突然始まったニール投手とのグリーティングに参加。「まさかニール投手としゃべれるとは思わなくてびっくりしました。テレビで見たそのままの優しい人柄が画面越しでも伝わってきました」と興奮が隠しきれない様子。

 さらに、メットライフドーム外野の大型ビジョン(Lビジョン)と同様の映像演出を、球場内のデジタルサイネージ73台と池袋駅の55インチ16面マルチの「池袋駅マルチビジョン」でも同時に放映する実証実験も実施。試合中継の放映実験も同時に行い、駅利用者も少し足を止め試合のゆくえを見守った。

 このような改革が進んだ背景には、間違いなく新型コロナウイルスの影響もあるが、スタジアムのスマート化に投資し、これまでにない野球観戦の体験を模索し、新たな価値として露出していこうというアグレッシブな球団の動きもある。2019年にトレーニングセンターと若獅子寮、グッズショップの改修を終え、今季はファーム球場である「CAR3219(カーミニーク)フィールド」のリニューアルや、「グリーンフォレスト デリ&カフェ」のオープンなど、着々とハード面の改修が進んでいる。さらに、ソフト面でのコンテンツの充実化を図っていくことで、今回の実証実験のような、デジタルやオンラインを活用したファン向けのプレミアムな企画が加速しそうだ。

 今季のチームスローガン「Leolution!」はまさに球場内外で行われているのだ。

(「パ・リーグ インサイト」海老原悠)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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