中日大野雄、6度目完封で巨人菅野と熾烈な沢村賞争い 専門家が絶賛する両者の共通点

沢村賞を獲得した阪神井川は「常に1つの勝ちに対して集中して貪欲に投げていく姿が印象的だった」

「菅野の13連勝もすごいし、大野の45イニング連続無失点もすごい。今年、投手のタイトルを分け合っている2人。甲乙つけ難く、比較するのは非常に難しい。残り試合でとんでもなく悪いピッチングをすれば印象は悪くなるが、それもないだろう。2人ともチャンスはあるし、同時受賞があってもいいんじゃないかと思う。もし自分が選考委員なら同時受賞にします」

 この2人の共通点はコントロールの良さだという。野口氏は「2人ともここぞというところでしっかりとコースに投げられるし、四球も簡単に出さない。球のキレ、スピードもあるが、やっぱりコントロール。今日の大野でいえば、(外角の)遠いところに速い球でカウントを取って、同じところからツーシームを振らせていた」と、制球の良さが今季の好成績につながっていると分析する。

 野口氏も、阪神に在籍していた03年に、沢村賞を獲得した井川と何度もバッテリーを組んできた。井川はその年、29試合20勝5敗、8完投、206回、179奪三振、防御率2.80の数字を残し、阪神を18年ぶりのリーグ優勝へと導いた。

「井川はあの年に限らず、常に1つの勝ちに対して集中して貪欲に投げていく姿が印象的だった。自分、そしてチームが勝つことに対して、真剣に取り組んでいた。皆の前で『やってますよ』とアピールするのではなく、陰で努力できるタイプ。先発は登板するその日だけ頑張ればいい訳ではないが、井川はランニングやウエートもしっかりやっていた。あの年は優勝した翌日が先発だったから、ビールかけにも参加しなかった」

 そして野口氏は「菅野、大野もそういった努力をしているだろうし、それは賞賛に値すること。例え、どちらかが受賞できなくても、落胆する必要はない」と、2人の今季のピッチングを称えた。

 巨人は残り16試合、中日が14試合。両者とも、今後の登板機会は限られてくるが、残された出番の中でどれだけ数字を上げていくことができるのか。ハイレベルな沢村賞争いから目が離せない。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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