16年の阪神復帰叶えた藤川球児の存在価値 OB藪恵壹氏が語る金本前監督の存在

2010年オフ、藪氏が阪神に復帰オファーするも…「あっさり断られました(笑)」

「当時、阪神の球団社長だった南(信男)さんに『投手コーチで戻ってこないか?』という打診を受けた時、どさくさに紛れて『もう1回選手で戻して下さい』って言ったら、『ダメだ。それはない。コーチで帰ってこい』って、あっさり断られました(笑)。僕も『あぁ、そうですか』って言いましたけど。

 僕としては、メジャーで100試合にリリーフとして投げていたので、日本ではリリーフとしてどれだけ投げられるか試してみたかったんです。でも、先発で250試合以上投げていたから、先発のイメージが強すぎて、阪神はイメージがつかなかったんでしょうね」

 現役選手として藪氏の阪神復帰は叶わなかったが、藤川は復帰後、今季で5シーズン目。その間にベテランとしてチームには欠かせない存在となった。

「引退会見で谷本(修)球団本部長が言ってましたが、去年の春先に『辞めたい』と申し出たのに、球団は『もう少しやってみたら』と翻意させたそうです。でも、それは藤川投手に力があるからだと思いますね。球団として、そして矢野(燿大)監督としても、チームから抜けられては困る存在。そういう判断があったと思います」

 引退会見後もなお、時速150キロに迫るストレートを投げ込む40歳。藪氏は「自分では真っ直ぐが走っていないイメージだと思いますが、それでもまだ若い投手に負けないボールを投げていますよ」と引退を惜しむ。だが、同時にその姿からは充実感も感じ取っているようだ。

「納得がいかないことも多くなるだろうけど、藤川投手はいろいろし尽くして、満足して引退をしていくタイプ。日米通算250セーブもいけたと思いますが、本人がそこにこだわっていない。本当にいいキャリアだったんじゃないかなと思います」

 2006年の第1回WBCにも出場し、剛速球で並み居る強打者をアウトに仕留め、日本を沸かせた右腕。また、名投手が一人ユニホームを脱ぐ。

(Full-Count編集部)

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