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戦力外の瞬間は「ほとんど言葉覚えてない」 1年前の経験者が語る生々しい経験

だんだんと日差しの鋭さがなくなってくると、この季節が来たのだと思う。プロ野球12球団では、来季構想外となった選手への戦力外通告が本格化する。多くが現役のユニホームを脱ぐ野球人生の大きな分岐点。その瞬間を1年前に経験した元外野手は、今でも生々しく覚えている。

通告覚えている言葉は2つ「お疲れさま」「他で頑張ってくれ」

 そして迎えた19年。1軍出場は10試合にとどまった。夏ごろから嫌な予感がつきまとった。「予兆というか、今年こそ最後かなというのは感じましたね」。もう若手とは呼べない28歳。ファーム暮らしが長く、2軍での成績も飛び抜けた数字はなかった。スタメンで出場する機会は徐々に減り、最後は代走での起用が多くなっていった。だから、戦力外の現実を前に驚きはなかったが、それを事実として噛みほぐすには時間がかかった。

 夜が明け、球場ではなく球団事務所に向かう。10月1日。覚悟を決めるしかなかった。「暗い顔でやっていた自分が嫌だったので、最後くらい笑って終わろうと」。事務所には、報道陣も待っていた。部屋に入り、球団代表と1対1で向き合う。いろんな言葉をかけられたが「ほとんど覚えてなくて…」。たった二言の衝撃だけが、今でも耳に残っている。

「お疲れさま」「他で頑張ってくれ」

 裏方として球団に残る可能性もない“別れ”を意味する言葉でもあった。ようやく事実として受け止め、通告後すぐに家族に連絡。「今までありがとうございました」と感謝を伝えた。最後の勇姿を見せるべくトライアウトは受けたものの、現役引退を決断した。その後、起業家として独立。現在は、結婚相談所の運営や野球教室での指導に精を出してる。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で世の中が一変。各球団もダメージを受けた中で、来季に向け厳しい判断を迫られることになってくる。開幕が延期になった影響で、例年よりも通告期間が後ろ倒しになり、11月から本格化する。新たに入ってくるルーキーがいれば、去りゆく選手が当然いる。戦力外を通告された経験者として、友永さんは力を込めて言う。

「下を向くのは違う。僕は現役をやめましたが、終わりをつくらなければ違う環境で野球は続けられる。戦力外という、人にはできない経験をしたとプラス思考で捉えてほしい。それをバネにして、別の舞台でのぼっていく人もたくさんいると思いますし」

 誰だって、できれば避けたい。だが、誰かには必ずやってくる。この秋も、多くの選手が人生の岐路に立ち、自ら選んだ道を歩んでいく。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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