「続きはプロで…」燕2位の山野太一が望む、広島3位大道&鷹育成2位中道との再戦

先発した東北福祉大・山野太一【写真:高橋昌江】
先発した東北福祉大・山野太一【写真:高橋昌江】

東北地区大学野球王座決定戦の八戸学院大戦で6回3安打12奪三振1失点

 プロの扉をこじ開け、マウンドで軽やかに腕を振る。10月31日、東北福祉大学野球場で行われた東北地区大学野球王座決定戦。東北福祉大(仙台六大学野球連盟優勝)の山野太一投手(4年、高川学園)が、八戸学院大(北東北大学野球連盟準優勝)戦に先発して6回3安打12奪三振1失点の好投を見せた。試合はタイブレークの延長10回、4-2で勝利。ドラフト会議でヤクルトから2位指名された左腕が躍動した。

「運命の日」から5日。山野はドラフト2位左腕として先発マウンドに立った。1回から直球と変化球を織り交ぜた持ち味のクレバーな投球で三振を増やし、走者をためても冷静に投げ続けた。4回には2死から三塁打を打たれ、適時打を許したものの、6回を被安打3、12奪三振と好投。「気持ちの面でも技術の面でもリーグ戦から改善でき、いい方向に進んでくれた。今日は初回から自分のピッチングができたなと思います」と声を弾ませた。

 大学では1年春からリーグ戦に登板。2年春には大学選手権優勝を経験したが、昨秋の明治神宮大会では初戦で先発を任されながら2回で降板となり、「自分の力不足で負けた」と責任を背負った。リベンジに燃えて練習に励み、この春には「大学に入って一番、いい状態だった」。140キロ後半を連発し、「思ったところにしっかり投げ切れている」と手応えがあったが、新型コロナウイルスが影を落とした。

 実家の山口県に帰り、母校などで練習。春のリーグ戦、大学選手権と活躍の場は奪われていった。夏から仕切り直したが、9月19日からはじまった秋季リーグ戦では、直球の最速を150キロに更新したものの、納得できる投球ができずにもがいた。10月18日にリーグ戦を終えると、いま一度、投球フォームを見直した。そして迎えた、学生野球最後の大会。「今日は不安とかなかったです」とすっきりとした気持ちで力を出し切った。

 スタンドには担当の斉藤宣之スカウトも来ており、「少しでも獲ってよかったと思ってもらえるようなピッチングを今日はできたと思います」と山野。斉藤スカウトも「正直、リーグ戦はあまり状態がよくなかったと思いますが、状態が戻ると思って、指名させていただいた。今日はリーグ戦の時より、球威もキレも上がっていて、本来の姿に戻りつつあるなと安心しました」と安堵した。

 相手の八戸学院大の先発はソフトバンク育成2位の中道佑哉投手で、5回からは広島3位指名の大道温貴投手が登板した。山野は「投げ合えるのを楽しみにしていたので、投げ合えて嬉しい」とプロ入り前の対決を喜び、「6回以降もまだ投げられる余裕があったので、今思えば、もうちょっと投げたかったなと思います」と余白を残した。「続きは?」と問うと、「プロで」と笑った左腕。1日の富士大との決勝は後ろで待機する予定で、「しっかりとケアをして、明日も投げたい。いい形で終わりたいです」とアマチュアラストゲームに向けて意気込んだ。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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