西武、CS進出争いのキーマンは守護神・増田 球団新記録達成&初タイトルも有力

西武・増田達至【写真:宮脇広久】
西武・増田達至【写真:宮脇広久】

国内FA権取得、オフには争奪戦の可能性も

■西武 5-4 日本ハム(3日・メットライフ)

 残り5試合にして、ついにクライマックスシリーズ(CS)進出圏の2位ロッテに並んだ西武。守護神の増田達至投手は3日に本拠地メットライフドームで行われた日本ハム戦で、球団新記録の通算136セーブ目を挙げた。今季33セーブもリーグ最多で、初のセーブ王のタイトルに手が届きそうだ。

 この日はピカイチの出来だった。1点リードの9回、先頭の西川を外角いっぱいの148キロのストレートで見送り三振。続く中田に対しては全球ストレートで押し、4球目の151キロで空振り三振に仕留めた。最後は大田に外角スライダーを打たせ、右飛で試合を締めた。今季33セーブ目で、2位のソフトバンク・森に2差をつけリーグトップ。通算136セーブ目は、現1軍投手コーチの豊田清氏の135を超え球団史上最多となった。

 それでも、実直で口下手、どこか昭和の雰囲気を漂わせる男は、お立ち台で照れまくった。「いつも通り、マウンドに上がりました、ハイ」と素っ気なく語った後、激烈なCS争いの中で登板する心境を問われると、「いつも以上に気合を入れて、残り試合も少ないですので……」と言葉に詰まった。スタンドのファンから「おい、大丈夫か!?」と言葉が飛ぶ一幕も。球団新記録達成については「自分1人で達成できた記録ではないので、皆さんに感謝しています」と丁寧に答えた。

 派手なパフォーマンスはしないが、連日しびれる場面で淡々とマウンドに上がり、仕事をこなす。10月18日のオリックス戦と同20日のロッテ戦で2試合連続失点したあたりでは、疲労がうかがえたが、ここにきてまた上り調子に見える。辻監督は「年を重ねて疲労も蓄積されていると思うが、タフだね。これくらいタフでないと、抑えは務まらないのかなと感心する」と32歳の右腕を称える。

 2016年から本格的に抑えを任され、2018年には不振で中継ぎに配転されたこともあったが、昨年は初めて大台の30セーブを挙げ復活。今季は既にシーズン自己最多を更新し、防御率2.11の安定感を誇っている。自慢の山賊打線に爆発力がなく、リリーフ陣の奮闘で接戦をものにしてきた今季の西武にとっては、まさに生命線である。

 昨年オフには、球団から提案された複数年契約を固辞し、今季年俸1億9000万円(推定)の単年契約を結んだ。今季中に国内FA権を取得しており、場合によっては他球団を含め争奪戦となる可能性がある。手に汗を握る今季残り試合からシーズンオフにかけて、“地味に凄い”クローザーにスポットが当たる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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