鷹ベンチはロッテ美馬の交代を「願っていた?」 前コーチが分析する勝負を分けた継投

6回途中で降板したロッテ・美馬学【写真:荒川祐史】
6回途中で降板したロッテ・美馬学【写真:荒川祐史】

昨季までホークスでコーチを務めていた飯田哲也氏が分析

■ソフトバンク 4-3 ロッテ(CS・14日・PayPayドーム)

 14日、ソフトバンクは本拠地PayPayドームで行われたロッテとの「パーソル クライマックスシリーズ パ」第1戦を4-3で逆転勝利。4年連続の日本シリーズ進出に王手をかけた。昨季までソフトバンクでコーチを務め、ヤクルトなどで活躍した飯田哲也氏は勝負のポイントは6回のロッテの継投にあったと分析した。

 ソフトバンクは2点リードされた6回。ロッテ先発の美馬を攻め、先頭の柳田、続くグラシアルが連続で安打を放った。栗原の犠打で1死二、三塁となったところでロッテ・井口監督はここまで1失点と好投した美馬から、2番手の東條に交代を告げた。美馬と同じ右投手の東條は続くデスパイネに遊撃内野安打を浴び、1点を返された。

 飯田氏は「あくまでも結果論ですが…」と前置きした上で、ここの継投に勝負の分岐点があったと見る。

「シーズンを通して選手たちを見てきた井口監督ら首脳陣が選んだ最善策ですから、継投ミスとは言えないと思います。ここは打ったデスパイネを褒めるべきだと思います」

 では、ここがどうして分岐点なのか。ソフトバンク側の心理的な変化があったという。もしも元コーチの自分がホークスベンチにいたら、美馬の交代を願っていたと思えるからだった。

「今季、美馬投手はソフトバンクに対して5勝1敗。ホークス打線は苦手意識がありました。それまでも再三、チャンスを作りながら、攻めきれなかった。丁寧に投げ、粘り強かった。なので、美馬投手が投げ続けていた方が、ベンチとしては嫌だったと思います」

 交代した瞬間に、ソフトバンク側の空気感が変わり、最初にデスパイネが打って、勢いに変えた。さらに、一、三塁でロッテは3番手の唐川へ。続く、牧原の当たりは二塁正面の打球だったが、二塁手の中村奨は一塁走者のデスパイネにタッチして一塁へ送球も、一塁手の井上が捕球できず。三塁走者のグラシアルの生還を許した。

 ロッテがとった最善策。デスパイネの打球方向が少し守備位置よりだったら、無失点で切り抜けられたかもしれない。澤村、益田へ余裕を持って、バトンを渡すことができたかもしれない。ただ、結果的にこの一つの交代が、劣勢だったホークスに勢いを与え、追い詰められていた相手のミスを引き出したのは間違いない。

(Full-Count編集部)

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