鷹は千賀&甲斐の2010年、ロッテは2008年…パ6球団の育成ドラフト“当たり年”は?

高木渉、齊藤誠人…西武は2017年に指名した期待の若手が続々

 中村氏はプロ2年目の2008年に支配下に昇格すると、同年は49試合に出場して打率.292、出塁率.346と、チャンスメーカーとして活躍。翌2009年には外野の主力として101試合に出場して打率.270を記録し、球団創設以来初となるAクラス入りにも大きく貢献した。ストライクゾーンから大きく外れた球であっても安打にする独特の「悪球打ち」と、持ち前の俊足を武器として、発足間もない時期の楽天を支える存在の一人となった。

 内村氏も2008年に47試合で打率.289と奮闘し、2年後の2010年には111試合に出場して打率.304、出塁率.367と出色の打撃を披露。翌2011年にも123試合で打率.271と一定の数字を残し、二遊間と外野を守るユーティリティ性も生かして主力として躍動した。2012年は打率1割台と苦しみ、シーズン途中にDeNAへと移籍。その後はレギュラー定着には至らなかったが、163センチの小兵は自らの武器を活かし、プロの舞台でも大いに存在感を放った。

 西武の育成ドラフト出身者として1軍の舞台で最も活躍したと言えるのは、2012年のドラフトで指名を受けた水口大地内野手だろう。独立リーグの2つのチームを経てプロ入りを果たした水口は、プロ3年目の2015年に支配下登録を勝ち取る。翌2016年に1軍デビューを果たすと、出場機会は少ないながら6打数3安打、打率.500と結果を残す。2017年には56試合に出場して打率.280を記録し、内外野のバイプレーヤーとして奮闘した。

 また、現時点では1軍での実績には乏しいものの、1位の高木渉外野手、2位の齊藤誠人捕手が、ともに支配下への昇格を果たした2017年の育成ドラフトも、成果としては一定以上のものがある。高木が20歳、齊藤が25歳とまだ若く、伸びしろも十分。両選手の今後の活躍によっては、この2017年が球団史上最も「当たった」育成ドラフトになる可能性もあるだろう。

 ロッテは育成ドラフト導入初期から、積極的に育成選手の指名を行ってきたチームの一つだ。その中でも2008年に行った指名は、チームの育成ドラフトの歴史の中でも指折りの成功例といえる。この年に入団した西野勇士投手は5位、岡田幸文氏(来季楽天1軍外野守備走塁コーチ)は6位と、同年の育成ドラフトの中でも下位の指名だった。しかし、プロに入ってから両選手は自らのプレーによってその高い実力を証明し、後に1軍の舞台でも大きなインパクトを残す存在となっている。

 西野は2012年のオフに支配下登録を勝ち取ると、2013年には先発として防御率3.80で9勝をマーク。翌2014年からは抑えに回り、防御率1.86で31セーブを上げた。2015年にも防御率1.83で34セーブと抜群の安定感は変わらず、2014年からの3年間で86セーブを記録。その後は相次ぐケガに悩まされ、今季も故障で戦列を離れているが、2019年には先発とリリーフを兼任し、防御率2.96と復活の兆しを見せている。

 岡田氏は2009年に支配下登録へ移行し、2010年に1軍に定着。同年の日本シリーズでは勝てば日本一となる第7戦で、延長10回に決勝点となる値千金の適時三塁打を放った。翌年にはレギュラーとして全試合出場を果たし、そこから2年連続でゴールデングラブ賞を受賞。2011年から6年連続で100試合以上に出場し、俊足と鉄壁の外野守備を生かして、主力として長年にわたってロッテを支える存在となった。

2008年に西野勇士&岡田幸文指名のロッテ、近年も和田康士朗ら活躍

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