鷹・千賀「何も良くなかった」 不調&フォーク見切られても巨人をねじ伏せた価値
何度も繰り返した言葉「なんとか、なんとか投げ切れた」
■ソフトバンク 5-1 巨人(日本シリーズ・21日・京セラドーム)
ソフトバンクが4年連続日本一に向けて好発進した。21日に京セラドームで行われた「SMBC日本シリーズ」の第1戦。ソフトバンクは栗原が、巨人のエース菅野から先制2ラン含む3安打4打点と大暴れ。エースの千賀は7回まで3安打無失点に封じる好投を見せて、5-1で快勝した。昨年のCS1stステージ第2戦からポストシーズン13連勝。日本シリーズも2018年の第3戦から9連勝となり、シリーズ新記録となった。
栗原が打の主役なら、投の主役はエースの千賀だった。4年連続で日本シリーズの初戦を託された右腕が苦しみながらも巨人打線をねじ伏せた。7回を投げて118球、3安打3四球。2回と7回以外は走者を背負う展開だったが、あと1本を粘って許さなかった。
千賀が苦しんでいたのは明らかだった。制球は安定せず毎回のように走者を背負った。試合後の口調も「なんとか、なんとか投げ切れたと思います」と何度も繰り返して歯切れは悪かった。
3回は1イニングで29球を要した。4回は先頭から2者連続四球。丸の遊ゴロ併殺打に救われたが、あの場面も「たまたまです。大きかったですけど、たまたま」。武器のフォークも振ってもらえない。「調子自体は良くなかった」。ギリギリのところで踏みとどまったというのが正直なところだった。
それでも、7回まで無失点に抑え込むのだから恐れ入る。150キロ中盤から後半の真っ直ぐでねじ伏せた。6回あたりからは両足が攣っていたが、即座に対処。「投げ方を変えてなんとか投げられるようになった」。7回を3安打無失点。先発として十分に役割を果たした。
初戦の先発を託した工藤公康監督は「終わった後に話したんですけど『何も良くなかった』と。良くなかった中で、自分の中でいくところでいって、かわすところかわして、走者出したとしても粘り強くやったところもある。集中力の勝利じゃないかなと思います」と目を細める。プレッシャーのかかる舞台で好投した右腕の力投を称えた。
「納得なんかいらない。勝てればいいんで」と千賀は言う。その言葉どおりにソフトバンクは初戦をモノにした。4年連続日本一まで、あと3勝。重要な意味を持つ初戦で、悪いなりにエースが果たした仕事は大きな価値のあるものだった。
(Full-Count編集部)