「走攻守のあらゆる面で見劣り」 日本S語り草“33-4”の守護神が語るセパの実力差

「2005年は勢いの差、ここ数年はパ・リーグとセ・リーグの間にはっきりと力の差がついている」

 今年のシリーズは、ボビー・バレンタイン監督が率いたロッテが10-1(7回1死濃霧コールド)、10-0、10-1、3-2(合計33-4)で、岡田彰布監督の阪神を一蹴した2005年に匹敵するワンサイドとも評されている。当時ロッテの守護神だった小林氏は、あまりに圧勝続きだったため出番に恵まれず、最後の第4戦で、1点リードの9回に登坂し無安打1四球無失点に抑え、胴上げ投手となったのが唯一のマウンドだった。

 スコアだけを見れば、05年よりは今年の方がまだしも両軍の力が拮抗しているようにも思えるが、小林氏の見解は違う。

 当時はまだCSが導入されておらず、パ・リーグにだけ第1ステージと第2ステージからなるプレーオフがあった。小林氏は「僕らはレギュラーシーズンでは2位に終わったが、第1ステージで西武、第2ステージでソフトバンクを破って、31年ぶりの日本シリーズを果たして、ノープレッシャーで臨んだ。本当に野球が楽しかった。対照的に阪神は優勝を決めてから2~3週間のブランクがあって、試合勘を失っていた」と振り返る。

「2005年は勢いの差だった。しかし、ここ数年はパ・リーグとセ・リーグの間にはっきりと力の差がついている。セは走攻守のあらゆる面で見劣りする」と断言するのだ。

 これで日本シリーズでは13年の楽天以降、パ・リーグ球団が8連勝。このままでは頂上決戦の価値が疑われる事態だ。小林氏は「普段のレギュラーシーズンで勝てている以上、自分たちのパフォーマンスに疑問を持つのは難しいが、もはや巨人をはじめセ・リーグ球団は、リーグ優勝だけでは喜んでいられないでしょう」と指摘。「春季キャンプの段階から『パ球団を倒して日本一になること』を目標に設定して、選手個々が意識を上げてやっていくしかない」と奮起を促した。

 スコア差「26-4」、実力差はもっとあった2020年に底を打ち、日本シリーズは実力拮抗の時代に向かった─と後々言われることになってほしいものだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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