捕手は中日木下拓、中堅は阪神近本…データの専門家が選ぶ守備のベストナインは?

ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】
ヤクルト・青木宣親【写真:荒川祐史】

左翼では38歳の青木が驚異の数値、中堅の近本はアナリスト全員が1位に

左翼手:青木宣親(ヤクルト)

 左翼手は、今季中堅から本格的にコンバートされた青木を選出した。青木は広い守備範囲に加え、送球や走者を自重させることで進塁を食い止める走塁抑止貢献(ARM)でも素晴らしい数値を記録していました。青木の38歳という年齢を考えると、驚きを与える結果だったと言えます。

 青木以外では島内宏明(楽天)が1位票を1票獲得。それ以外のアナリストからもすべて2位票を獲得し、2位につけました。左翼のポジションは例年、守備面でパ・リーグ選手がセ・リーグ選手を圧倒する傾向が続いていました。これについては、指名打者制のないセ・リーグ球団は守備に目をつぶり、左翼に打力重視の選手を配置することが多いためではないかという指摘がなされていました。ですが、今季はこれが逆転し、セ・リーグの左翼手のほうがより好成績を残していました。

中堅手:近本光司(阪神)

 中堅手は、アナリスト全員から1位票を獲得した近本光司を選出しました。UZRでも突出した値を残していた近本ですが、異なる要素も用いたアナリストの分析を通じても、打球処理能力は圧倒的だったと評価されました。

 ほかのポジションとは異なり、中堅手の2位以下は僅差でした。大島洋平(中日)は3位票から8位票まですべて獲得するなど評価が分かれました。昨季、左翼手で満点受賞だった金子侑司(西武)も競争の激しい中堅手の中では傑出した成績を残せていません。

右翼手:大田泰示(日本ハム)

 右翼手は大田が初の選出となりました。こちらもアナリスト全員から1位票を集めました。大田は打球処理評価に加え、左翼の青木と同じく進塁抑止貢献(ARM)でも高評価を得ています。ただ、1位に選出したアナリスト間でも意見が割れる部分も見られ、大田が圧倒的だったという見解もあれば、捕球(打球処理)に関しては松原聖弥(巨人)が上回っており、僅差であったという見解もありました。

(DELTA)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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